「侍魂見せて」原辰徳氏がプレミア12を戦う日本にエール「打線確立できてないから逆に楽しみ」
スポーツ報知 / 2024年11月13日 5時0分
巨人軍前監督で、オーナー付特別顧問の原辰徳氏(66)が12日、スポーツ報知に特別寄稿した。「ラグザス presents 第3回WBSCプレミア12」に出場する侍ジャパンは、13日の初戦・オーストラリア戦(バンテリンD)に向け、最終調整。2009年の第2回WBCで世界一に輝いた名将は、日の丸を背負うことの意義と、自身が感じた国際大会の“鉄則”を交えて、日本にエールを送った。
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プレミア12が開幕し、日本も初戦を迎える。感じるところは、世界的に野球で競うというものが定着してきた、ということ。オリンピック、WBC、プレミア12、という流れがあり、その全てで侍ジャパンがトップランクに位置していることも非常に誇らしい。
日の丸を背負うことは、どんな時でも特別であることは間違いない。それはもう、どんなスポーツにおいてもそう。君が代を歌い、日の丸に頭を下げてから戦うのは、やっぱりすごく重い。目標という点においては、アマチュアからプロ野球選手になりたい、プロになった人は日の丸を背負って戦いたい。この思いは、絶対持っているはずだし、持ってる人じゃないと大成はしないでしょう。一流が、トップクラスが憧れるもの。日本代表はそういう場所でなくてはならない。
今回の代表には、若い選手も多く選ばれた。井端監督を含め、スタッフたちは先々のことを考えてるだろうから当然、若い選手が活躍してくれるのは大変な財産になる。打線で言えば誰しもがうなずける1番、あるいはクリーンアップ、そういう部分がまだはっきり確立できてないように思うから、逆に楽しみも多い。今後、先頭を切って日の丸を背負える人間は誰だ、ということを問える大会になるだろう。
投手に目を向けると、やはり巨人勢に目が行くが、中でも今年の井上は本当に成長した。技術的にももちろんだが、精神的にこういうピッチングをしたらやれるという自信が出てきた。それはとても重要で、仮に力が五分五分なら、やはりマインドが強い人が勝負に勝つ。私が監督として一緒にやってた頃の井上は1年目から秀でるものは持ってたが、全てが「憧れ」みたいな。「うわぁ、1軍の世界だ…」と少々舞い上がるようなところもあったが、若くしていろんなことを経験でき、それを糧として、段階の中で時間を正しく使って今日がある。高橋宏斗くん、才木くんもいいピッチャーだ。ともに腕の振りが強く、フォークも一級品だが、何より真っすぐでも勝負できる強さが本当に素晴らしい。やはりそれが投手の本質であることを認識させてくれる。
国際大会では何が起こるか分からない。「当たり前」の認識は持ってはいけない。09年のWBCを振り返れば、私は監督として周りの景色、環境はうんと理解しようと努めた。球場の形も独特だし、極端に言えばルールも違うケースもある。イニング間でキャッチボールもできない。審判の人たちの傾向も違う。全てのことを受け止める。そこに否定というものが入ると、力を発揮することはできない。「順応しながら戦うこと」がすごく大事になる。これまでの代表の戦いを見ても、一戦ごとに力をつけていくのが侍ジャパンの真骨頂。厳しい試合も待っているだろうが、「侍魂ここにあり」を見せてほしい。健闘を期待しています。(巨人軍オーナー付特別顧問)
◆2009年WBCの原ジャパン 原監督はイチローを中心に、スピードと自己犠牲を重視してチームを編成し、連覇を達成した。東京ラウンド(R)は最終戦で韓国に敗れ、2位通過。サンディエゴでの第2Rでも韓国に敗れたが、岩隈の好投でキューバを撃破した。同R最終戦で韓国に雪辱して1位通過すると、米国との準決勝は9得点で快勝。決勝は5度目の対戦となった韓国と死闘の末、10回に不振に苦しんでいたイチローが林昌勇から決勝2点打。最後はダルビッシュが締め、原監督は「お前さんたちは素晴らしい。強い侍になった!」とナインをたたえた。準決勝など3勝の松坂が2大会連続MVP。
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