イチロー氏、母校で“ため口”に持論「ある程度、上下関係はあってほしい」「緩めるのは簡単。戻すのは大変」愛工大名電で初指導
スポーツ報知 / 2024年11月19日 16時0分
日米通算4367安打を記録したイチロー氏(51)=現マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター=が18日、愛知・春日井市内にある母校・愛工大名電のグラウンドをサプライズ訪問。3年生も含めた部員45人(女子部員1人を含む)に指導を行った。高校生の指導は11校目だが、母校は初めて。春夏25度の甲子園出場、05年センバツVの名門に“イチ流”の金言を授けた。
午後4時15分頃。打撃練習を終えたイチロー氏は、グラウンド内での全部員が集まってミーティングで、こう語りかけた。
「みんな、動くと力がある。個々の能力がさすがに高い。雰囲気もいいんじゃない」
1年生が時折、2年生に対して“ため口”を使うということを聞き、言った。
「伝統的に僕のイメージです。めっちゃ(昔は)厳しかった。ある程度、上下関係はあってほしい。緩くなったら、ずっと緩くなるよ。だんだん、やさしくなってきて。それは先輩の仕事。緩めるのは簡単だけど、戻すのは大変だからね。明日から、ちゃんとやろうと」
そして、3年生のナインに呼びかけた。
「(これからも)野球やるの。続けていたら会えるかもね。社会人のチームにもまわるし」
母校は現在、最新鋭の機器を導入。投球や打球の速度や回転を詳細に測定し、分析する「データ野球」を採り入れている。
「感性を大事にして、みんな能力が高いから。あんまりしばられないように。だってさ、ゲームで強いチームのいいピッチャーは甘い球、来ないよ、なかなか。それをヒットにしないといけない。ヒットにできる技術の方が優先されるべき。甘い球を強く振る、打ち返す、ゲームの中で使えないからね。何とかバットに当てて、三塁ランナーをかえす。そういうことが必要になってくるからね。データを活用することも大事だけど、そうじゃないところにも大切なことがある」
母校での初指導を、こう結んだ。
「お互い、長所、短所を指摘しあって、高めあってください。名電に来るって決めた時、すごい不安があった。長い間、来ていないからどんな雰囲気で野球をやっているのか、怖さの方があったんだけど、みんなと一緒に練習して、実際にやって、やっぱり野球が好きな高校生。気持ちのいい空気だし、頑張ってほしい。また来るかもしれません。母校ですから」
「愛工大名電の伝統をしっかりと引き継いで、後輩たちに」
「とにかくみんなのことを見ているから。頑張って。名電に入ることは大変。数少ないし、レベル高いし、名電に入ってプレーしていることだけで一定の満足感を得てしまう子もいるかもしれないけど、全然、違うからね。その次を見据えて頑張って下さい。じゃないと、終わっちゃうからね。みんな上の野球を目指すわけだから。必ず先を見据えて頑張って下さい。名電のプライドを持って、しっかりプレーして下さい」
主将から花束を渡され「必ず、甲子園に行きます。甲子園に見に来て下さい」と言われると「それは無理だよ」と笑った。記念撮影後、部員たちに見送られながら、母校を後にした。
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