ミラノ五輪の新星! W杯初Vの吉田雪乃は郷土愛あふれる21歳…“ポスト小平”名乗り「戦える位置」
スポーツ報知 / 2024年11月23日 5時45分
◆スピードスケートW杯第1戦 第1日(22日、長野市エムウェーブ)
女子500メートルで岩手出身の吉田雪乃(21)=寿広=が、自己ベストの37秒74で初優勝を果たした。この種目での日本勢のW杯制覇は2021年11月の小平奈緒以来。26年ミラノ・コルティナダンペッツォ五輪に向け、女子短距離に待望の新星が現れた。女子1500メートルは世界記録保持者の高木美帆(30)=TOKIOインカラミ=が1分55秒02で制し、個人種目でW杯通算30勝目。男子500メートルは新濱立也(28)=高崎健康福祉大職=が34秒58で3位に入った。
自国開催のW杯のリンクで笑みがはじけた。吉田は100メートルを全体2位の10秒46で入った勢いのまま、残り400メートルも滑り抜けた。電光掲示板に表示されたタイムは自己記録を0秒18上回る37秒74。「(同走者のタイムと)どっちだろうって。ポワポワしていた」と実感が湧かないまま後続の5組を見届け、W杯初優勝が確定。新鋭は「1位を取ったのがちょっと信じられない」と目を丸くした。
女子500メートルは18年平昌五輪金メダルなど長年引っ張ってきた小平奈緒さんが22年10月に引退後、日本勢は苦戦が続いていた。吉田も「後に続かなきゃという気持ちはどこかであったけど、戦える自信が正直なかった」と振り返る。だが、22年北京五輪女王のエリン・ジャクソン(米国)らを抑え、日本勢では3季ぶりのW杯制覇。「戦える位置にいるんだと感じた」と“ポスト小平”へ、力強く名乗りを上げた。
郷土愛を貫き、成長してきた。岩手・盛岡出身で、陸上との“二刀流”から、盛岡工高入学後にスケート一本に絞った。高校卒業後は一時、スケートを辞めることも考えたが、「地元で応援してもらえる選手になりたい」との思いから地元企業の寿広に所属。ナショナルチームの誘いも2度断り、現在も盛岡に生活拠点を置きながら、高校時代の恩師・植津悦典氏らの指導を受ける。氷上練習の時期だけは屋内リンクのある帯広(北海道)や八戸(青森)に遠征して練習を積む。
この日、同じ岩手県出身の大谷翔平投手が米大リーグ、ナ・リーグMVPを受賞した。「次元が違いすぎて。でも、そういうことを聞くだけでも頑張ろうって思える」と刺激を受けた。ミラノ五輪を明確な目標に掲げる21歳も、岩手から世界に挑む。(林 直史)
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