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【報知映画賞】助演男優賞に奥田瑛二「静かで熱い長年の想念が通じた」初受賞

スポーツ報知 / 2024年11月26日 5時0分

演じた役とはガラリと変わり、ダンディーなスーツ姿で取材に応じた奥田瑛二(カメラ・小泉 洋樹)

 今年度の映画賞レースの幕開けとなる「第49回報知映画賞」の各賞が25日、発表された。「かくしごと」(関根光才監督)で認知症を患う父親役を演じた奥田瑛二(74)が助演男優賞に選ばれた。

* * *

 74歳の奥田の瞳は、光るものであふれていた。「変な言い方しますが、他はもらってますが、報知映画賞だけ、まだだったんですよ」。「候補入り」は妻でエッセイストの安藤和津(76)からの電話で知った。「あなた、ノミネートされてるわよ!」と。「あ、そう」。そっけなく返した。「かみさんに『何、うれしくないの?』と電話切られて。ここで、はしゃいじゃいけないと思ってね」。そんな後での吉報。「静かで熱い長年の想念が通じたね」。夫婦で涙ながらに喜び合ったという。

 48年の俳優人生。「かくしごと」では認知症の役で失禁の場面もあった。「わがままに聞こえるでしょうが、最近多かった社会的な重鎮役はひと区切り。もう一度、人間らしい役をやりたい。そう決めた矢先に来たのがこの役。断る理由は、どこにもなかったです」

 主演の杏(38)と親子を演じた。杏の父は奥田が「海と毒薬」でも共演した旧知の渡辺謙(65)。話したいことはたくさんあったが「あえてしなかった。互いの役のためにもその方がいいと。彼女も察してくれた」。

 演じた役が壮絶なほど、周囲は役づくりを知ろうとする。

 「役づくりも何も、撮影現場では、ずっと役の状態でいられた。自分に残る客観視の部分は全体の2%ほど。ここまで集中力をキープできたのは監督、スタッフのおかげ」。認知症の症状だけでなく、老いた男が内包する過去を失っていく葛藤の表現にも目を見張るものがあった。

 報知映画賞は、次女の安藤サクラ(38)が第37回(2012年)の助演女優賞(「愛と誠」「その夜の侍」)、長女・安藤桃子さん(42)が監督作「0・5ミリ」で第39回(14年)の作品賞と先を越された。「サクラは隔年でトルネードのようにもらってるでしょ。報知(映画賞)は表彰式にも行きました。もちろん娘の受賞はうれしいんですけどね」。心の奥底で「自分はこのままでいいのか」という気持ちがあったのも事実だ。

 奥田の自宅には親子がこれまで獲得したトロフィーが無数に並ぶコーナーがある。受賞の知らせを受けた日、サクラの報知のライオンのブロンズ像を確認しに行った。「これか! これは重いだろうな」。思わず手を伸ばしかけて、やめた。「触るのは表彰式当日まで我慢しようと。壇上で初めてその重みを味わいたいと思います」(内野 小百美)

 ◆かくしごと 絵本作家の主人公(杏)が、認知症の父(奥田)の介護のために帰郷する。長年交流のなかった父との暮らしに戸惑う中、事故で記憶を失ったらしい少年(中須翔真)に遭遇。体に虐待と思われる傷があった少年を守ろうと自分が母親だと嘘(うそ)をついて暮らし始める。原作は北國浩二氏の小説「嘘」。

 ◆奥田 瑛二(おくだ・えいじ)1950年3月18日、愛知県生まれ。74歳。天知茂さんの付き人を経て、80年代にドラマを中心に活躍。86年「海と毒薬」で映画初主演。「棒の悲しみ」(94年)でブルーリボン賞主演男優受賞。2001年に「少女」で監督デビュー。次女・安藤サクラの夫は俳優の柄本佑。

 ▼助演男優賞 選考経過 藤竜也、青木崇高、中村倫也、安田顕の名前も挙がったが、1回目投票で奥田が過半数を獲得。「俳優という人生。ついにここまで来たか、奥田瑛二」(見城)、「奥田さんだと最初気づかなかったくらいの名演で、存在が大きかったです」(YOU)。

 ◆選考委員 荒木久文(映画評論家)、木村直子(読売新聞文化部映画担当)、見城徹(株式会社幻冬舎代表取締役社長)、藤田晋(株式会社サイバーエージェント代表取締役)、松本志のぶ(フリーアナウンサー)、YOU(タレント)、LiLiCo(映画コメンテーター)、渡辺祥子(映画評論家)の各氏(五十音順)と報知新聞映画担当。

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