上野由岐子「好奇心を持って」投球道場「UENO LABO」開講 初の米国から参加14歳も感激「夢の時間」
スポーツ報知 / 2024年11月29日 8時0分
ソフトボール女子で2008年北京、21年東京五輪金メダルのレジェンド・上野由岐子投手が23日から2日間、群馬・高崎市内のグラウンドで自身が発案し、経験や技術を直接指導するクリニック「第3回UENO LABO」を開講した。ブランドアンバサダーを務めるミズノが主催し、上野は中学生から大学生までの17投手に、2部構成で約6時間みっちり指導した。
晴天の下、上野の声がグラウンドに響いていた。1部は午前9時に集合。「自分で自分をコントロールすることが大事」。今回からマイクを導入し、グラウンド周りにいた保護者にも、上野の助言が聞こえるようになった。主に中高生の13人が参加した1部。上野は「(中高生は)個性を、今までやってきたことのプラスアルファを伸ばすことを意識している。何かを変えるきっかけになる助言ができたら」。一人一人と向き合い、それぞれの選手に合ったアドバイスを送った。
国内の中学生の大会は主にゴムボールが主流だが、一人、革ボールを投げ込む14歳がいた。米カリフォルニア州に在住の白岩舞子さんは「UENO LABO」に参加するために約11時間のフライトで来日。ドイツで生まれ、父・学さん(41)の仕事の関係で6歳の時に米国に移り住み、10歳でソフトボールを始めた。3年前に東京五輪で金メダル投手となった上野に感銘を受け、米国の自宅では上野がソフトボールを語るYouTubeの公式チャンネル「太陽のように」を欠かさず見ているという。
「夢のような時間」と目を輝かせ、約3時間投球指導を受けた。白岩さんは落ちる変化球のドロップボールの投げ方を教えてもらい、「緊張しましたね」と充実顔。質問コーナーでは積極的に手を挙げ「米国人と日本人のバッターに対してのピッチングは違うんですか?」と聞いてみた。上野から「それは違うと思う。米国人はいい意味でアバウト。日本人の方が繊細だから、そもそも抑えられる球が違う。もちろん組み立ても変わってくる」と話を受けた。白岩さん自身も米国のクラブで投げていて感じてきたことで「難しいけど、頑張ろうと思いました」とうなずいた。
4年後の28年には、自宅から車で1時間ほどにあるロサンゼルス開催の五輪が待つ。上野投手とともに夢舞台に立つ可能性だってある。14歳の白岩さんは「上野選手みたいに強いメンタリティーでピッチングをして、ホームランを打たれても(精神的に)引きずることなく投げられるようになりたい。オリンピックにも出たい」と思い描いた。
午後からは高校生、大学生の部。大学日本代表の増渕安月さん(東女体大)ら4人が並び投げ込んだ。増渕さんはドロップ系の球を武器とするが、投球の幅を広げるべく、上野から浮き上がるライズボールを習った。「握りを変えて、体の持っていき方やコースに対するフォローも左打者の外には小指を捕手の方に向けて投げる。左の内角にはスライダーみたいにフォローすると、シュートせず真っすぐ上がるようになった。回転数が増えて、浮かないことがなくなり、ボールが動くようになりました。収穫が多かったです」と、新たな感覚に手応えを得た。
大学卒業後は、国内最高峰のニトリJDリーグの選手になり、将来的には上野らが活躍してきた日本代表を夢見る。20歳の有望株は「急速がアベレージで100キロ以上出るわけではないので、コントロールや思ったように球を操って、打たせて取る投球や悪いなりに試合を作れる投手になりたい。まずは実業団のチームに入って自分の投球を確立させたい。その先に最高の目標はトップ代表でやることです」と力を込めた。
約6時間の講習を終えた上野も充実の表情だ。「メンタルの持って行き方は大学生になると理解もしてくれるので、厚めに考えを伝えました。新しい球種はきっかけがないと教わることもないと思う。今持っているスキルを磨くだけでなく、新しいスキルを身につける好奇心を少しでも持ってほしいなと思って、好奇心がそそられるような声かけをしながら指導できたかなと思います」と楽しそうに話した。
「UENO LABO」は上野が自らが企画している。長年トップで戦い、培ってきた技術、メンタル、投球術など「伝えたいこと」を直接伝える場だ。受講生を少人数に絞り、あえて1万円の受講料を受け取っている。これまで21年冬に第1回、23年夏に第2回を実施してきた。中京大時代に参加していた坪野三咲投手(現デンソー)は、22年にニトリJDリーグに進み、23年に新人賞。上野はアワードで再会し、感慨深げだった。「全日本のユニホームを着られる投手が出てきてほしい」と上野。自身に継ぐ世界一に導くエースを生むべく、熟練の技や競技への思いを伝えていく。
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