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経験値×対話力×日本愛 バレー男子ティリ新監督、東京五輪「金」ノウハウ生かす

スポーツ報知 / 2024年12月3日 6時30分

バレーボール男子の日本代表監督に就任するロラン・ティリ氏(中)(右は日本バレーボール協会の川合俊一会長、左は南部正司男子強化委員長=日本バレーボール協会提供)

 バレーボール男子日本代表の新監督に内定したロラン・ティリ氏(61)が2日、来年の正式就任を前に会見を行った。2021年の東京五輪で母国フランスを五輪初の金メダルに導いた名将は、28年ロサンゼルス五輪へ「表彰台を目指す」と56年ぶりの五輪メダルを目標に掲げた。今夏のパリ大会で2大会連続の7位となった日本と21年五輪金メダルのフランスとは「経験の差」があると断言し、4年後の五輪メダル獲得プランを示した。

 世界一を知る名将の言葉に迷いはなかった。男子日本代表新監督の就任内定会見で、ティリ氏は「日本は優れた技術や成績を残しているチーム。大変光栄であるとともに責任を感じる」と背筋を伸ばし、「ロサンゼルス五輪で表彰台を目指す」と誓った。72年ミュンヘン五輪金以来56年ぶりの快挙へ、現在務める大阪B監督は今季限りで退任し、代表指揮官に専念。大同生命SVリーグを終えた来年4~5月に正式に就任しロス五輪後まで率いる。

 メダル獲得へ「ロスへの道は一つ」と示した。フランス代表監督時代、16年リオ五輪は重圧から1次リーグ敗退。教訓を胸に臨んだ21年東京大会で母国フランスを初の金メダルに導いた。名将は、パリ五輪で連覇したフランスと日本の距離を「経験の差」と言い、「フランスは大事な場面でのびのびとプレーできた。アタックもレシーブも優れていたが、日本は特別な大会の重圧を感じていた」と指摘した。母国を五輪制覇へ引き上げた成功例を引き合いに、「日本は全ての国際大会で表彰台を取る気持ちで臨むことが大事」と力説。強豪へと成長するために“勝ち癖”が必須と唱えた。

 選手時代から親交のあるフィリップ・ブラン前監督(64)がつくった下地を生かす。チーム力、攻守の連係面を強化し、ネーションズリーグで23年銅、24年銀に導いたブラン氏の強化路線を「継承してさらに高みを目指す」とした。体格で世界に劣る日本。「私の哲学と日本が目指すバレーは通じる」と日本が目指す緻密(ちみつ)なバレーを好む。「私のバレーのベースは技術。サーブは体格に関係ない。レシーブも重要で(攻撃の起点になる)サーブレシーブの時に着実にポイントを取れることが大事。もう一つはブロックで、ディフェンスと連係させる」と“ティリ流”で体格差を埋める。東京、パリ大会代表でロスを目指す高橋藍(23)=サントリーは「コミュニケーションを取るのがうまい」と印象を語る。新監督も「対話」を大事にする。

 大役を引き受けた理由に「日本人への愛着」とティリ氏。世界一と日本をよく知る指揮官が、日本の夢へタクトをふる。(宮下 京香)

 〇…会見に同席した日本協会の川合俊一会長(61)はティリ新監督に「ロス五輪までにメダルを取れるチームに引き上げて」と期待した。指導者としての実績と日本人への理解が決め手となり、「複数人の候補がいたが、全会一致。バンザイ!」と笑った。同じ63年生まれで現役時代に対戦経験がある。アタッカーとして決して大きくない身長193センチだが「(ティリ氏は)頭脳的なプレーをした」と川合会長。サイズの劣る日本が世界と戦っていく上で「そういう指導をする」と描いた。

 ◆男子のパリ五輪 主将の石川祐希、主軸の高橋藍や西田有志らの活躍で五輪予選は4大会ぶりに自力切符を獲得。五輪1次リーグ(L)では格下のドイツにフルセットで敗れて黒星発進。アルゼンチンに勝ち、米国には敗れたが2大会連続で8強入りした。48年ぶりの4強がかかったイタリア戦はセットカウント2―0でマッチポイントを握りながらまさかのフルセット負け。72年ミュンヘン以来のメダルには及ばなかった。

 ◆ロラン・ティリ 1963年12月1日、フランス出身。61歳。フランス代表ウィングスパイカーとして82~95年にかけ長く活躍。欧州選手権で2度のメダル。五輪は88年ソウル大会、92年バルセロナ大会に出場。2005、06年にチェコ代表監督を務め、12年から母国のフランス代表監督。五輪は16年リオから2大会連続で指揮を執り、21年東京大会金メダル。20年からパナソニック(現大阪B)監督。身長193センチ。

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