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中村勘九郎、舞踊「舞鶴雪月花」桜の精、松虫、雪達磨の3役演じ「はかなさと哀愁をお見せしたい」

スポーツ報知 / 2024年12月4日 1時7分

「舞鶴雪月花」で松虫を演じる中村勘九郎(左)と中村長三郎(C)松竹

 歌舞伎俳優の中村勘九郎、中村長三郎が3日、東京・歌舞伎座で初日を迎えた「十二月大歌舞伎」(26日千秋楽)の第3部「舞鶴雪月花(ぶかくせつげっか)」に出演した。

 勘九郎の祖父・17代目中村勘三郎(俳名・舞鶴)に書き下ろされた中村屋ゆかりの演目で、季節の移ろいをコミカルに描いた変化舞踊だ。

 幕が開くと枝垂桜の大樹の陰から、ひょっこりと姿を現した桜の精(勘九郎)が、愛らしい娘姿で桜の名所の景色を歌いながら、花の香りが漂うような艶やかな踊りを見せる。季節が変わり、月明りの下のすすき野となり、子どもの松虫(長三郎)がはぐれた親を探して踊る。親の松虫(勘九郎)が花道のすっぽんから登場すると、先ほどまでの娘姿から一転した姿に客席からは驚きの声が上がった。

 短い生命の虫の運命を哀れに踊る姿に観客の心は引き込まれる。そして舞台は雪景色の町中へ。大きな雪達磨が舞台からせり上がり、炭屋の町娘に恋する雪達磨(勘九郎)が、恋心を滑稽に踊る。「中村屋!」の大向うが響きわたり、場内は惜しみない大きな拍手に包まれた。

 桜の精、松虫、雪達磨の3役を演じた勘九郎は「やがて散っていく桜、秋の夜の松虫の親子、溶けてなくなる運命にある雪達磨、そのはかなさと哀愁を、祖父好みの曲調や振りを通して、長三郎と共にお見せしたいと思います」と語った。

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