05年ラスベガス公演、土俵はコンクリートのようにカチコチだった…朝青龍、高見盛ら力士はエンタメ精神発揮
スポーツ報知 / 2024年12月5日 5時15分
日本相撲協会は4日、ロンドン公演を財団法人設立100周年の節目となる25年10月15~19日に開催すると英国で発表した。海外公演は05年の米ラスベガス以来20年ぶりで、ロンドンでは91年以来2度目。八角理事長(61)=元横綱・北勝海=が前回と同じ会場となるロイヤル・アルバート・ホールで記者会見。5日間の公演では土俵入りや、幕内力士らの取組を披露する。海外公演は65年から計13度実施。05年の米国・ラスベガス公演を現地取材した甲斐毅彦記者が、その舞台裏と意義を「見た」。
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2005年10月に開催されたラスベガス公演は、日本相撲協会が、その土地柄に沿って、いかに観客を楽しませるかにこだわったイベントだった。渡米前には当時の北の湖理事長(元横綱、故人)が力士たちに「エンターテインメントの本場でがっかりさせればブーイングが起こる。目の肥えたファンを満足させられるように」と訓示。伝統文化の様式美などを強調したところで、観戦を楽しみに足を運ぶ外国の人に大相撲の魅力は簡単に伝わらないと考え、形に縛られない柔軟な姿勢を求めた。
会場となったマンダレイベイ・リゾート&カジノの前に設置された大型スクリーンには、幕内・高見盛の気合注入パフォーマンスと併せて、横綱・朝青龍が土俵上でニンマリ笑い、グッと左手を突き出してガッツポーズするシーンが終日流されていた。本場所中なら決して褒められない振る舞いが、プロモーションビデオに使われていたのだ。
現役時代に日本のバラエティー番組に出ることはなかった幕内・稀勢の里も、米NBCテレビに出演して盛り上がりに一役買った。上半身裸で向かって来る人気リポーターを軽々と突き落として、笑いを誘った。その陰で一苦労だったのが土俵造りだ。現地で粘土質の土を入手できず、呼び出したちが苦慮して造った土俵はコンクリートのようにカチコチ。エンタメ精神を発揮してハッスルした力士たちが一人もけがしなかったのは今も良かったと思う。
3日間の公演でMCとして活躍したのは、元大関のKONISHIKIだった。高見盛を「角界のロボコップ」、関脇・琴欧州(当時)を「角界のブラッド・ピット」と米国人にも分かりやすいように英語で解説。総合優勝した朝青龍は、本場所では腰になじまずに全く使用していなかった金色のまわしで土俵に上がり「チャンピオン」らしさを視覚化した。
3日間の合計入場者数は2万4795人で一日平均8265人。約8割の入りだったが、北の湖理事長が総括したように「相撲協会にとって大きな一ページ」だった。そこには日本ならではのおもてなしの精神が詰まっていた。(01~06年相撲担当・甲斐 毅彦)
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