食道がん闘病中の西村修、１・２６広島で大仁田厚と初タッグ「大仁田さんのプロレスにどハマりしている自分がいます」

１・２６広島大会で初めてタッグを組むことになった大仁田厚（左）と西村修（カメラ・中村　健吾）

◆ＦＭＷＥ年内最終戦「ＴＯ　ＤＯ　ＩＳ　ＴＯ　ＢＥ」大会（８日、横浜・鶴見青果市場）

　ステージ４の食道がん闘病中の「無我」西村修（５３）がメインイベントの「原点回帰」と名付けられたノーロープ有刺鉄線＋ジャイアント電流爆破バットデスマッチで竹村克司、青木真也と組んで、大仁田厚、雷神矢口、マンモス佐々木組と激突した。

　食道がんの放射線療法だけでなく、１０月末には脳に転移した脳腫瘍除去のため開頭手術を受けたばかりの西村。術後わずか４１日でのリング復帰に医療関係者からの反対の声も上がる中での強行出場となった。

　試合前のリングに長男や子どもたちを呼び寄せ、柔和な笑顔を見せた西村だったが、ゴングと同時に大仁田に脱ぎ捨てた革ジャンを叩きつけられ、場外乱闘に発展。戦前の「リングに上がってくる限りは容赦しない。逆に手加減したら失礼にあたる」という宣言通り攻勢に出る「邪道」の前に劣勢に立たされた。

　青木とともに反撃開始。コンビで大仁田の左右の腕を極（き）め、悶絶させる場面もあったが、パートナーの竹村が集中攻撃を受け、大仁田の顔面への毒霧噴射、ギターでの脳天殴打でグロッギー状態に。竹村は最後も大仁田と矢口に前後からの電流バット・サンドイッチ殴打を浴び、完全ＫＯ。３カウントを奪われた。

　試合後のリング上で大仁田とガッチリと抱き合った西村。大仁田の「西村さん！　ステージ４でも、いつまでも、いつまでもリングに上がって下さい！」という絶叫に「人間、いつかは死が訪れます。最後の瞬間が来るまで悔いなく生きるために私は最後まで戦い抜きます！」と宣言。

　マイクを引き取った大仁田に「僕は西村さんが憎いわけじゃない。ぜひ、次は大仁田、西村組をお願いします！」と、リングで対峙したこの日とは一転、次戦でのタッグ結成をリクエストされた。

　ここで来年１月２６日、広島グリーンアリーナ（広島県立総合体育館）小アリーナで昼夜にわたって開催される「新春広島プロレスフェスティバル」での引退を公表しているデビル・ザ・マジシャンがリングに乱入。「大仁田さん、西村さん。１・２６広島で待ってます」と、大仁田、西村組との対戦を要望。すでにマジシャンはパートナーに葛西純を用意。大仁田、西村、Ｘ組とマジシャン、葛西、Ｘ組との激突が濃厚となった。

　最後に締めのマイクを持った大仁田に「西村、頑張れ！　がんに負けるな！　ファイヤー！」とエールを送られた西村はバックステージで「今、大仁田さんのプロレスにどハマりしている自分がいます。大仁田さんとリングに上がるたびに、それを求めているファンの気持ちが伝わってきて」と、「邪道」との初タッグを受諾。

　ステージ４のがんと不屈の闘いを続けるレスラーは「ファンが求めている、これこそがプロレスだと思っています。これからも大仁田さんのプロレスにどハマりして、生きる糧にしていきたいと思います」と、目をギラリと輝かせて誓っていた。（中村　健吾）

　◆全成績

　▽タッグマッチ１５分１本勝負

　〇パンディータ、ＦＭＷＥショッカー（７分０６秒　逆さ抑え込み）工事現場の親父、ＢＯＮＩＴＡ●

　▽スリーウェイダンス２０分１本勝負

　〇谷口裕一（７分３９秒　横入り式エビ固め）佐野直●

　※もう１人はドＲａえもん

　▽ミックスドタッグマッチ２０分１本勝負

　〇リッキー・フジ、寧々∞Ｄ．ａ．ｉ（７分１９秒　片エビ固め）ミス・モンゴル、ワイルド・ベアー●

　▽ミックスドタッグマッチ２０分１本勝負

　〇怨霊、ラム会長（９分５４秒　合体抑え込み）バラモン・シュウ、バラモン・ケイ●

　▽ファイヤーデスマッチ　３０分１本勝負

　〇櫻井匠、長谷川一孝（１４分５４秒　ムーンサルトプレス→片エビ固め）ミスター・ポーゴ、モンスター・レザー●

　▽「原点回帰」ノーロープ有刺鉄線＋ジャイアント電流爆破バット　時間無制限１本勝負

　〇大仁田厚、雷神矢口、マンモス佐々木（１０分２３秒　電流爆破バット・サンドイッチ殴打→体固め）西村修、青木真也、竹村克司●