来季Ｊ２降格の札幌…最終節で柏に１－０…石屋製菓の石水創社長を最高責任者に１年でのＪ１返り咲き目指す

退任セレモニーで挨拶した札幌のペトロヴィッチ監督（カメラ・飯塚　康博）

◇明治安田Ｊ１リーグ　▽最終節　札幌１－０柏（８日、札幌・大和ハウスプレミストドーム）

　北海道コンサドーレ札幌が、２０２４年シーズンの幕を下ろした。今季最終節のホーム・柏戦は１―０で勝利。９勝１０分け１９敗の勝ち点３７、Ｊ１残留圏の１７位柏と勝ち点４差の１９位に終わった。７年間指揮したミハイロ・ペトロヴィッチ監督（６７）が退任し、４選手の契約満了を発表と、９年ぶりにＪ２で戦う来季、陣容は大きく変わる。新たに石屋製菓の石水創代表取締役社長（４２）を最高責任者に据え、経営基盤を強化。戦力も可能な限り充実させ、１年でのＪ１返り咲きを目指すことになる。

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　２４年最終戦後、出直しの２５年に向けた舵が、大きく切られた。セレモニーにクラブスポンサーを代表して登場した石水氏が、はっきりと決意を口にした。「来季、私が代表権を持ってコンサドーレを支えていきたいと思います」。２万人を超える観衆から、大きな拍手が湧き上がった。

　２２年１月、三上大勝ＧＭ（５３）が代表取締役に就任。補強などのチームづくりに加え、トップとして、会社の全てを見ることとなった。しかし多忙を極める状況に加え、成績も低迷する今季、クラブ内外から“兼任”に対する疑問の声が噴き出していた。その声も受け、９年ぶり降格が決まった翌１日の広島戦（１●５）後、三上氏が石水氏に辞任の意を伝えた。石水氏は「三上さんに経営と強化のすべてを任せてしまった責任は、私にもある」と熟考の末、最高責任者の座に就くことを決断した。

　今年度の決算は、現時点で赤字が見込まれている。黒字達成が必須となる２５年は石水氏が北海道を代表する菓子メーカー「石屋製菓」で培った経営力を注ぎ、三上氏は従来通り強化部門に専念。チームをＪ１に定着させたペトロヴィッチ監督は去るが、鹿島で２年連続トップ５入りした岩政大樹氏（４２）の新監督就任は秒読み段階に入っている。生まれ変わった組織で、１年でのＪ１復帰を目指していくことになる。

　もちろん未知数な部分は多い。柏戦に先発したＭＦ駒井善成（３２）とＦＷ菅大輝（２６）は８日、今季限りでの契約満了が発表された。Ｇ大阪から期限付き移籍中のＦＷ鈴木武蔵（３０）とは契約延長しない方向で、ＤＦ岡村大八（２７）ら、他クラブが興味を示している選手も少なくない。大幅な陣容変更もあり得るが、クラブは主力の流出を最大限防ぐべく、本格交渉に入っている。新たな船出をいい形で迎えるための準備は、着実に進んでいる。

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　札幌での最後の戦いに、菅が感情を爆発させた。契約満了の発表から一夜明けた柏戦。小４から一筋だった赤黒のユニホームに身を包み、Ｊ１通算２５０試合目をフル出場で終えた。

　後半１５分、ピッチを退くＭＦ宮沢から声をかけられ「結構泣きべそなので。試合中だったが泣いてしまった」。試合後も涙が止まらず、ベンチに座ると号泣した。「人生の半分以上、コンサドーレにいるので」。思い入れあるチームとの別れを惜しんだ。

　同じく今季限りで退団する駒井もフル出場し、攻守に奮闘。浦和時代から８年半、ともに過ごしてきたペトロヴィッチ監督との最後の共闘を勝利で飾り、「いい結果で終えられて良かった」と気丈に振舞った。

　同じく契約満了となったＭＦ小林祐希（３２）を含めた３人の移籍先は、現時点で未定。ＧＫ阿波加俊太（２９）は「７割くらいは決めている」と現役を退く方向でいる。各々が様々な形で、札幌での思い出にピリオドを打った。

　☆ＭＦ荒野拓馬主将（後半３５分から途中出場）「今季、味わった苦しさをみんなで考えて、新しいメンバーでＪ２を戦い抜いていかないといけない」

　〇…札幌でアンバサダーを務める小野伸二氏（４５）による「Ｊリーグ×小野伸二　スマイルフットボールツアー　ｆｏｒ　ａ　Ｓｕｓｔａｉｎａｂｌｅ　Ｆｕｔｕｒｅ　ｓｕｐｐоｒｔｅｄ　ｂｙ　明治安田」が８日、大和ハウスプレミストドームで行われた。小学１～３年の６４人が参加。小野氏は子どもたちと笑顔で一緒にボールを追うなどし、交流した。札幌での初開催を終え「子どもたちにとってもいい思い出になったと思う。またこのピッチでやりたいという気持ちになってもらえたら」とほほ笑んだ。