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「歯を食いしばっているうち、顔が固まってしまって…」 それでも西武・松井稼頭央監督が貫き通した信念

スポーツ報知 / 2024年12月16日 11時35分

松井稼頭央元監督

 人間だもの、監督だって。負ければ悔しいし、腹が立つ。記者に話したくない日もあるだろう。仏頂面で黙りを決め込む監督を何人も見てきた。西武は今季、球団史上ワーストの91敗を喫して最下位に沈んだ。それでも“2人の監督”は、143試合すべて会見場に現れて言葉をつむいだ。

 「僕が暗くなったら終わりじゃないですか」。松井稼頭央監督(49)は、どんな試合内容でも大きな目を見開き前を向いた。前年の5位から巻き返しを図った就任2年目。振るわない打線をリーグ一と評された投手陣も支えきれず、交流戦前で15勝30敗と大きく出遅れた。5月上旬の練習日。顔のあちこちに、張りをほぐす効果がある円形状テープを貼っていた。「歯を食いしばっているうち、顔(の筋肉)が固まってしまって…」。表情はほぐれることなく、志半ばで休養となった。

 松井監督からバトンを受けて監督代行に就いたのは渡辺久信GM(59)。11年ぶりの現場復帰だった。08年に日本一に導いた経験を生かそうと選手を鼓舞し、トレードも仕掛けたが流れは変えられなかった。34勝61敗3分け。顔を紅潮させて声を荒らげる日があっても「ノーコメント」はなかった。「前回、監督をやった6年間も取材を拒否したことはなかった。私からメッセージを出すのはすごく大事。言葉が少ない時もあったけど一言、二言はメッセージは出していた」。自らの思いをメディアを通して選手、ファンへ伝えることも指揮官としての責務と思っていたからこそだ。

 常勝軍団、復活へ。レジェンド2人の後を継いだのはチーム生え抜きで182勝を挙げた西口文也新監督(52)。スリムな風ぼう、ひょうひょうとした口ぶりからは想像できないほどの負けず嫌い。91敗の記憶を胸に、どんなメッセージを発信してくれるのだろうか。

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