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「IWGP世界王者」ザック・セイバーJr.、1・4&1・5東京ドームへ独占「激白」《後編》「海野翔太」へのメッセージ

スポーツ報知 / 2024年12月21日 12時0分

ザック・セイバーJr.(写真提供・新日本プロレス)

 新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者・ザック・セイバーJr.がこのほど、スポーツ報知の取材に応じ、来年1・4、1・5東京ドーム2連戦への思いを激白した。

 今年は、8月に真夏の最強決定戦「G1クライマックス」で初優勝。史上2人目の外国人として制覇する偉業を達成した。そして10月に内藤哲也を破りIWGP世界王座を初奪取。2度の防衛に成功し1・4東京ドームのメインイベントで海野翔太の挑戦を受ける。さらに1・5ドームでは、AEWのリコシェと対戦する。「G1」制覇、IWGP奪取、そして初のドームでのメイン…これまでの夢を一気につかんだ英国出身の37歳。プロレス人生最大の2連戦を目前に控え、プロレス哲学、海野への思いなど赤裸々に告白した。スポーツ報知ではプロレス界のトップに立つザックの言葉を3回に渡り連載する。最終回は「海野翔太へのメッセージ」。

 1・4。IWGP世界王者として初めてドームのメインイベントに登場する。挑戦者は海野だ。海野は、ザックがベルトを奪取した両国、そして鷹木信悟を破りV2に成功した11・4エディオンアリーナ大阪といずれも試合後にリングインし挑戦を表明。ザックが熱意を認め挑戦を受諾した。チャレンジャーとの「差」を聞くと、明確に回答し海野へメッセージを送った。

 「大きく言うと経験です。そこはごまかせません。彼のアイデンティティーとかレスラーとしての自我が確立すれば、もしかしたら将来的には自分より早くトップになるかもしれない。それには彼が『どうなりたいか』を決断することが必要だと思います。そういう意味でドームでは真の海野翔太を引き出したい。一方、僕には、何かを獲得しても変わらない軸があります。例えば、成功したからと言って何かが変わることはありません。なぜなら、僕には確固たるスタイルがあるから。僕の信じたスタイルはタイトルを持っていなくても変わらない、同じです」

 海野は27歳。デビューは2017年4月。海外武者修業を経て2023年11月にがい旋帰国し群雄割拠する新日本マットでトップの一角に食い込んだ。迎え撃つ王者は37歳。2004年4月に母国英国でデビュー以来、欧州各国、プロレスリング・ノアなどで実績を積んできた。新日本参戦は海野がデビューした17年3月と同じ時期だがプロレスラーとして重ねた実績、経験、英国と日本で年月をかけて築いた伝統と近代を融合させた「ザック・スタイル」が自信の源にある。一方で海野は、両国、大阪の挑戦表明で観客から強烈なブーイングを浴びた。ファンが突きつけた挑戦者へのマイナス反応をどう捉えているのだろうか。

 「ブーイングを浴びたと言っても2回ぐらいでしょ。同じ日の彼の試合では声援があった。だからファンは彼がいいレスラーだと分かっています。ただ、チャレンジャーとしての器がないということなのかもしれません。ただ、翔太は僕に2回も挑戦を要求してきた。若い選手が自信をもつのは悪くないし、彼は(大阪で)SANADAに勝っている。だから挑戦することは理解できる。彼と僕は戦うことを強いられる運命にあった。ドームでは、彼の最高の姿を引き出して勝ちます」

 1・4で勝利のポイントをこう説いた。

 「自分自身に誠実であることです。僕にとって初のドームでのメインイベント。だからこそ自分自身のスタイルに真摯でありたいんです。UKスタイルはポピュラーじゃないかもしれない。ドームは、すべてにおいてプロレス界にとってビッグイベントだからプレッシャーだってあります。そのメインで自分のスタイルを変えずにやりたい。僕は自分自身のスタイルに真剣に向き合い正しいバランスを探しながら、ここまで戦ってきました。人より長くかかったけど、今、成功したことへの自信を持ってリングに上がりたい。そして、証明しないといけないことがあります。それは、自分のスタイルが通用するかどうか。継続可能なスタイルを確立します。ドームでそれを証明します。そして常に新しいサブミッションをいろんなポジションから極めることを考えています。そういう意味でも挑戦やチャンスはエンドレス。難しく危険な技もあるけどそれを作っていく」

 この取材で王者に聞きたい見解があった。それは昨年秋に公開された映画「アントニオ猪木をさがして」の中で海野が語った言葉だった。映画では2002年2月1日の札幌大会でリングに登場した猪木さんが蝶野正洋、永田裕志、棚橋弘至ら「てめぇは何に怒っているんだ」と問いかけた「猪木問答」のシーンが流れた。この「怒り」をテーマに棚橋と札幌の小料理店で同席した海野が「僕は怒りはないです」と明かした。この発言の真意を海野は昨年秋の映画公開前のイベントで「怒りがないわけじゃないです。戦っていれば喜怒哀楽もありますし、もちろん怒りもあるんですけど、それが僕の中では原動力にならない」と説き「戦いに怒りは必要かもしれないですけど、(ファンの)みなさまに対し怒りは必要はない」と明かしているが、映画の中で「怒りはない」との言葉をザックはどう受け止めているのだろうか。質問すると「1人1人の考えがあります」と切り出すと、こう続けた。

 「プロレスは格闘技と離されるべきなんだけど僕は、同じ世界にいると考えています。翔太の考えは分かります。でも、僕のビジョンは格闘技と同じ傘の下にプロレスはあるんです。もちろん、相手をケガさせたり、こてんぱんに叩きのめそうとは思ってないけど、プロレスはファイトだと思っている。闘いだと思っている」

 プロレスに「怒り」は必要なのか。

 「プロレスで一番大事なことは、相手と戦っていない。誰と何と戦っているのか?それは自分自身と戦っています。しかもすべての側面で。例えばボディスラムをやられる。何日も痛くて起き上がれない。だけど、僕は試合で10発も20発も受けることがある。そこから起き上がることが闘いであり、続けることが闘いです。『怒り』は、ネガティブリアクションに聞こえますがでもそれは受け取り方とか状況によります。僕だって誰かがベルトに対して何かをすれば怒ります。それは、人間としての怒りです」

 待ったなしの1・4。海野を突破すれば、1・5でAEWのリコシェと防衛戦になる。

 「リコシェは、翔太とはスタイルは違いますが、久しぶりの対戦。タイトル戦を2日連続でしかも東京ドームのメインイベントのレベルを2回見せなければいけない。ドームは新日本プロレスはもちろん、プロレス界全体にとって重要な大会です。たくさんの日本と海外のファンが見ます。そして、新しいファンを開拓するチャンス。ワクワクするよ」

 海野、リコシェをドーム2連戦で突破。2025年の野望を披露した。

 「ドーム2連戦で勝つことは間違いなくトップの証明であることのひとつになります。そして、2025年は、1年を通してチャンピオンでいることが目標です。すべての町、すべてのシリーズ、海外…新日本プロレスを率いる立場になってすべての試合に出場します。だから、今はその始まりに過ぎない。東京ドームで僕のトップとしてのキャリアが始まるんだ」

(福留 崇広)

 ◆1・4東京ドーム全対戦カード

 ▼IWGP世界ヘビー級選手権 60分1本勝負

王者・ザック・セイバーJr. vs 挑戦者・海野翔太

 ▼スペシャルシングルマッチ 30分1本勝負

内藤哲也 vs 高橋ヒロム

 ▼IWGP GLOBALヘビー級選手権 60分1本勝負

王者・デビッド・フィンレー vs 挑戦者・辻陽太

 ▼IWGPジュニアヘビー級選手権 60分1本勝負

王者・DOUKI vs 挑戦者・エル・デスペラード

 ▼NEVER無差別級選手権

王者・鷹木信悟 vs 挑戦者・KONOSUKE TAKESHITA

 ▼棚橋弘至ファイナルロード・ランバージャックデスマッチ

棚橋弘至 vs EVIL

 ▼NJPW WORLD認定TV選手権3WAYマッチ

王者・成田蓮 vs 挑戦者・ジェフ・コブ、大岩陵平

 ▼IWGP女子選手権 60分1本勝負

王者・岩谷麻優 vs 挑戦者・AZM

 ▼IWGPジュニアタッグ選手権4WAYマッチ

王者組・KUSHIDA、ケビン・ナイト vs ロビー・イーグルス&藤田晃生、TJP&フランシスコ・アキラ、クラーク・コナーズ&ドリラ・モロニー

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