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イクイノックス陣営が見た“戦友”ドウデュース  「ライバルだけど、馬も人もリスペクトしている」

スポーツ報知 / 2024年12月20日 18時43分

ドウデュースのジャンパーを着用する、美浦・木村哲也厩舎の阿部孝紀助手(左)と楠友広助手(阿部助手提供)

 ドウデュース(牡5歳、栗東・友道康夫厩舎、父ハーツクライ)が有馬記念・G1(12月22日、中山・芝2500メートル)の出走を取り消した。右前肢ハ行のため。20日、友道調教師が明らかにした。

 ドウデュースのライバルといえば、22年日本ダービーでワンツーだったイクイノックス。同年の天皇賞・秋から国内外でG1・6連勝を収め、1年早く現役を引退した。

 ドウデュースの担当・前川和也助手と、イクイノックスの調教パートナーだった阿部孝紀助手、担当した楠友広助手は、まさに戦友。取消発表前の取材に対し、イクイノックスに携わった両助手は、ドウデュースの印象や思い出について語っていた。

 両陣営が急接近したのは23年春のドバイ遠征。楠助手は「自分たちは試行錯誤していたけど、ドウデュースと前川さんは真っ先に馬場に飛び出して…。我が道を行く。かっこよかった」と振り返る。阿部助手はこのとき、前川助手に「いつも調教VTR見てます。うまいです」と“ファン宣言”。会話のきっかけを作った。

 結果は、イクイノックスがシーマ・クラシックを快勝、ドウデュースはターフを出走取消と明暗が分かれたが、ここが縁の始まり。イクイノックスは23年宝塚記念に出走した際、栗東に滞在。その間も前川助手から食事に誘われたり、友道厩舎に呼ばれたりするなど、親切にもてなされたという。

 イクイノックスのラストランとなった昨年のジャパンC。ドウデュースは4着に敗れたが、ゴール後、楠助手に真っ先に抱きついたのは前川助手だった。「そこが一番泣きそうでした」と楠助手。勝者をたたえる姿勢に感銘を受けた。ハグにはハグを―。ドウデュースが勝った今年のジャパンC当日、臨場していた楠助手は、もちろん前川助手と抱擁。「去年の恩を返せた。かっこよかった。一緒に戦ってきて、ライバルだけど、馬も人もリスペクトしている」。仲間の勝利を、心から喜んだ。

 阿部助手は「ダービーの出走馬が、18頭中17頭重賞を勝った」と世代レベルの高さを評価。楠助手も「イクイノックスの種馬の価値も、ドウデュースのおかげで上がっている。世代でしっかり結果を出しているからこそ」とうなずく。2頭でG1・11勝。最強世代をリードしてきた。

 イクイノックスがドウデュースに勝る点は? そう尋ねると楠助手は「まじめさ。そう言うと、ドウデュースがまじめじゃないみたいだけど…。イクイノックスの方が繊細で、優等生かな」と比較。すると阿部助手は「ドウデュースは前川さんに似てる(笑)。馬っ気が強くて、我が道を行く」とユーモアたっぷりに表現した。一方、負ける点については、阿部助手が「食欲(笑)」と即答。楠助手も「食欲は負けますね」と同調した。

 楠助手は現在、レガレイラを担当しており、有馬記念でドウデュースと対戦するはずだった。「倒すつもりでいく。勝ったまま引退させるつもりはないですよ」と勝利宣言をしつつも、「どんな結果になっても、色んな思いがこみ上げると思う」と吐露していた。

 ドウデュースが出走取消となり、その対戦はかなわなかった。阿部助手、楠助手とも「残念」と悲痛な思いは共通だ。くしくも、2頭は来年から社台スタリオンステーションの“同僚”。産駒同士の対決という、第2章がもうすぐ始まる。(水納 愛美)

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