「家族と親戚以外に聞いたことがない」全国でも珍しい名字の4年生が山梨学院大9年ぶりシード権奪回に燃える
スポーツ報知 / 2024年12月22日 6時0分
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で5年連続38度目の出場となる山梨学院大は、珍しい名前の選手が浮沈の鍵を握る。三重県出身の土器屋快都(どきや・はやと、4年)が、10月の箱根予選会チーム3番手の個人66位で同校の3位通過に貢献した。入学時は学年で最も遅い選手だったが、今年2月に駅伝監督に就任した08年北京五輪男子マラソン日本代表の大崎悟史氏(48)の指導の下、21歳の才能は“発掘”された。卒業後は第一線を退く予定で、ラストランとなる箱根路で古豪復活のゴールテープを切る。
夢に見てきた大舞台が迫っている。初の箱根駅伝で10区を希望する土器屋は「じわじわと順位を上げる復路が向いている。シードを決めるゴールテープを切って皆で喜びたい」と、16年以来9年ぶりのシード権(10位以内)奪回に燃えている。全国でも珍しい「土器屋」姓は鹿児島を中心に九州などで多く、土器屋も曽祖母が鹿児島県出身だという。「家族と親戚以外に聞いたことがない。日本全国でも数少ない土器屋さんに活躍を見せたい」と笑う。同じく鹿児島県に多い、珍しい名字の平八重(ひらやえ)充希も1区を走る見込みで「珍しい名字同士頑張りたい」と意気込んだ。
父・耕(こう)さんと母・直津子さんは、実業団・八千代工業(三重)の元長距離選手だ。陸上一家に生まれたが、四日市中央工では5000メートル15分前後で目立った実績もなし。コーチとして入学時から見てきた大崎監督は「同学年で一番タイムが遅かった」と当時を振り返る。それでも、土器屋は「天才肌ではない。準備などできることはしっかりしてきた」と焦らず、日々努力を積み重ねてきた。
今年2月、大崎監督が就任したことが転機となった。指揮官は山梨学院大卒業後、NTT西日本に入社も陸上部が同好会に格下げに。社業の営業をこなしながら06年アジア大会マラソン銅メダル、07年世界陸上マラソン6位になった努力家だ。「ジョギングを選手に任せるなど自主性が重要視された。考える力が付いた」と土器屋。指揮官が重点を置いた起伏の激しい26キロロードコースを積極的に走り「後半に脚の力を残せるようになった」。10月の箱根予選会の好走で、初めて箱根駅伝登録16選手に残った。
卒業後は地元・三重の銀行に就職予定で本格的に競技は続けない。「箱根を走るために山梨学院大へ来たので」と、陸上一家悲願の箱根路となるラストランへ言葉に力を込める。90年代に3度の優勝を誇りながらシードから8年遠ざかる山梨学院大。最終10区。新春の大都会での快走で古豪復活を告げる。(山田 豊)
◆土器屋 快都(どきや・はやと)2003年1月8日、三重・四日市市出身。21歳。笹川中時代は野球部。四日市中央工で本格的に競技を始める。尊敬する選手は大迫傑(ナイキ)。自己ベストは5000メートル14分18秒12、1万メートル29分37秒63、ハーフマラソン1時間4分55秒。166センチ、52キロ。家族は両親と弟。
◆山梨学院大 1985年、強化指定クラブとして本格始動。箱根駅伝は87年に初出場。89年に初めて留学生を起用。優勝3回(92、94、95年)。出雲駅伝優勝6回、全日本大学駅伝は2位が10度。練習拠点は甲府市。部員数は57人、スタッフ4人。タスキの色はC2Cブルー。主なOBに87年大会10区を走った漫画家の高橋しん氏、08年北京五輪男子マラソン代表の尾方剛氏(広島経大監督)。
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