佐々木麟太郎の妹・秋羽が巨人女子入りへ 兄に「勝っているのは足だけ」１００メートル１３秒２１の俊足が武器

９月、イチロー選抜　ＫＯＢＥ　ＣＨＩＢＥＮ・高校野球女子選抜の試合に出場した松井さんと対戦した花巻東・佐々木

　巨人の女子チームに、岩手・花巻東女子硬式野球部の佐々木秋羽（しゅう）内野手（１８）が入団することが２３日、分かった。高校通算１４０本塁打を誇り、米スタンフォード大に進学した佐々木麟太郎内野手（１９）の妹で、同校野球部監督の洋氏（４９）を父に持つ。今年９月に高校野球女子選抜としてイチロー氏（５１＝マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター）が選抜したチームと対戦した世代屈指の内野手だ。大型新人の加入で、全国大会２冠とリーグ戦優勝を狙う。

　花巻東の主将として、８月に甲子園で決勝が行われた第２８回全国高校女子硬式野球選手権大会で準優勝に導いた佐々木が、ジャイアンツのユニホームを着ることになった。近日中に正式に発表される予定。宮本和知監督（６０）のもと、女子野球界屈指の強豪となったチームに、「麟太郎の妹」が新風を吹かせる。

　兄・麟太郎の背中を追うように小２から野球を始め、中学時代は大谷翔平の父・徹さんが監督を務める金ケ崎シニアでプレーする一方で陸上部に所属。県の総合体育大会で１００メートル１３秒２１の４位に入った俊足も魅力だ。女子チームはアマチュアのクラブチームのため、大学に通いながらプレーすると見られる。

　２１年末に宮本監督と選手４人で発足した巨人女子チームは、平均年齢２２・１５歳（１２月現在）の若いチーム。選手を２２人に増やして本格活動２年目となった今季は、８月の全日本クラブ選手権を連覇したものの、１０月の全日本選手権は決勝で敗れて全国大会２冠を逃した。関東の１２チームが参加するリーグ戦・ヴィーナスリーグは２５勝８敗の３位。指揮官は「成長した１年でしたが、絶対的な強さを求めるためにチームの弱いところを補強を含めて強化していきたい」と語っていた。佐々木の左右に打ち分けるシュアな打撃、俊足を生かした走塁と守備範囲の広さに即戦力の期待がかかる。

　佐々木は花巻東での３年間で春、夏、秋の女子３大全国大会でいずれも準優勝。日本一への強い思いを口にしていた。今年９月には高校選抜チームに選ばれ投手・イチロー氏と対戦（四球と三振）。その事前合宿では巨人女子チームのリーグ戦を視察し、「打球のスピードが速くレベルが高い」などと印象を明かしていた。

　しなやかさを生かしたプレースタイルは、高校通算１４０本塁打を誇ったパワーヒッターの兄と対照的だが、よく野球の話をするという１歳違いのきょうだい。かねて「（兄は）すごいし、尊敬している気持ちはあります。唯一、勝っているのは足だけ。そこは負けたくない」と意識してきた。兄より先にＮＰＢのユニホームに袖を通すことになった期待のルーキーが、高校時代に届かなかった頂点を目指す。

　◆佐々木　秋羽（ささき・しゅう）２００６年９月２９日、岩手県生まれ。１８歳。小２の時に、兄・麟太郎が入っていた江釣子（えづりこ）ジュニアスポーツ少年団で野球を始める。江釣子中時代は陸上部に在籍しながら、金ケ崎シニアでプレー。２２年に花巻東女子硬式野球部の３期生として入部、１年（２２年）秋の全国ユース大会、２年（２３年）春の全国選抜大会、今夏の全国選手権大会をいずれも準優勝。１６８センチ。右投左打。家族は両親と兄。

　◆麟太郎の近況　花巻東を卒業後、スタンフォード大の寮に入寮。６月にＷＭＥスポーツとエージェント契約を結び、ドラフト前の高校生や大学生が参戦する「ＭＬＢドラフトリーグ」に参戦した。一塁、三塁、指名打者として２５試合で打率２割２分１厘、４本塁打、１７打点。７月には大学生が参加するアパラチアンリーグで９試合に出場し、打率３割９分１厘、３本塁打、８打点だった。来年２月中旬からシーズンが始まり、６月の大学ワールドシリーズ優勝を目指す。

　◆巨人女子チーム

　▽創設

　２１年末に西武、阪神に次ぐＮＰＢ球団の傘下チームとして発足

　▽歩み

１年目の２２年は島野愛友利ら４人のみのため、クラブチームの一員として出場。２０人体制となった昨季から単独チームとして本格活動を始めた

　▽実績

　２３、２４年全日本クラブ選手権を連覇。今季は全日本選手権準優勝、ヴィーナスリーグは３位で全公式戦の成績は４２勝１１敗

　▽首脳陣

　元巨人投手コーチの宮本和知氏が創設時から監督。今季のコーチは勝呂壽統、松本哲也、佐藤弘祐の３氏。

　▽スケジュール

　巨人女子は２月からＧ球場などで調整し、４月にヴィーナスリーグ開幕。リーグ戦は土日に関東周辺で１０月まで行われ、今季は１２チーム。その間に全日本クラブ選手権（千葉）が８月に、全日本選手権（愛媛）が１０月に行われる。

　▽年俸

　クラブチームのためプロ契約選手はなく、球団がアカデミーコーチや球団職員、イースタン・リーグのボールガールなど雇用機会を提供。今季は３人が大学生、小学校教諭の選手も。