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「人生を懸けて臨む」大関・琴桜が「夢」と「綱」の二文字に込めた思い 祖父超え初の報知年間最優秀力士賞

スポーツ報知 / 2024年12月25日 5時0分

今年の文字を「夢」、来年2025年の文字を「綱」と記した琴桜(カメラ・相川 和寛)

 報知新聞社制定「令和6年(2024年)第67回報知年間最優秀力士賞」に大関・琴桜(27)=佐渡ケ嶽=が24日、初選出された。都内で行われた選考委員会では初の年間最多勝(66勝)や14勝を挙げた九州場所で、高いレベルの成績で初優勝を果たしたことなどが評価された。祖父で先代師匠の元横綱・琴桜も届かなかった栄冠を後押しに、来年の大相撲初場所(1月12日初日、東京・両国国技館)では初の綱取りに挑む。同場所初日には表彰が行われ、スポーツ報知杯、賞金が贈呈される。

 横綱昇進に挑む新春の土俵を前に、琴桜に吉報が届いた。年6場所制となった1958年から始まった報知年間最優秀力士賞受賞者には大鵬、北の湖、千代の富士、貴乃花、白鵬ら歴史に名を残した横綱たちが居並ぶ。そこに名を連ねたことに「すごい面々。うれしいですね」と笑顔を見せた。元横綱の先代・琴桜は優勝5回を誇るが、同賞受賞経験はない。番付で肩を並べる前に、一つ“祖父超え”を果たした形だ。

 飛躍の1年だった。初場所では決定戦で敗れて初優勝こそ逃したが、13勝を挙げ場所後に大関昇進を決めた。新大関の春場所は、父で師匠の佐渡ケ嶽親方(元関脇・琴ノ若)から継いだしこ名を大関にしたい思いで「琴ノ若」のままで土俵に上がり、夏場所から「琴桜」を襲名。少年時代、生前の祖父と交わした「大関になったらいいぞ」という固い約束をついに果たした。

 ただ優勝には手が届かず、その間に新鋭の尊富士や大の里が賜杯をつかみ“ちょんまげ旋風”を巻き起こした。琴桜は「悔しくないことはない」と振り返る一方で「他人を気にしても仕方がないですから。やることは変わらずに」と愚直に自らと向き合う姿勢を貫いた。

 そして一年納めの九州場所で歓喜の瞬間が待っていた。14勝1敗で念願の初優勝。祖父と同じ大関5場所目、27歳で初賜杯を抱いた。ただ「良かったですが(初場所のV逸など)悔しい思いもしましたし、満足はしていないです。1回優勝して終わりではないですから」と飽くなき向上心を見せる。

 そんな1年を表す一字には「夢」を選んだ。「大関昇進や初優勝という夢がかないましたし、(横綱という最大の)夢に向かうポイントではないですが、そういうのもつくれましたので」と理由を語った。

 来年の目標とする一字には「綱」と、したためた。目指すは最高位ただ一つ。「(チャンスは)転がり込んでくるものではないですから。つかみ取らないと」と気合。加えて「生半可な気持ちでは戦えないのはわかっています。人生を懸けて臨むぐらいの気持ちでいきます」と語気を強めた。2025年は、さらに大きく羽ばたいていく。(三須 慶太)

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