第2次エディー・ジャパン、1年目は「50点」 永友洋司TD、コミュニケーションの壁打開へ「日本人コーチも入れていきながら」
スポーツ報知 / 2024年12月27日 10時0分
ラグビー男子日本代表の永友洋司チームディレクター(TD、53)がこのほどスポーツ報知の単独インタビューに応じ、エディー・ジョーンズ・ヘッドコーチ(HC、64)率いる今季の日本代表活動を総括した。27年W杯に向け、若手発掘に注力する一方で、テストマッチは4勝7敗に終わった1年を「50点」と採点。来季に向け「80点までもっていく」と危機感を募らせた。(取材・構成・大谷翔太)
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9年ぶりに日本を率いるジョーンズHCの復帰1年目は、テストマッチ4勝7敗。27年W杯に向けチームの若返りを図る中、永友TDは初年度を「50点」と採点する。
「今年は20人が初キャップを獲得し、中・長期的な強化という点ではいいスタートが切れたが、結果を見れば内容を踏まえても25点かなと。そこに今取り組もうとしている25点を加算した上で、50点くらいが今年の評価だと思う」
23年W杯フランス大会から、選手を大幅にシャッフル。リーグワンでもキャップを重ねていないルーキー世代を積極的に起用した。高校、大学、リーグワンと足繁く現場へ視察にも足を運んだHC。新戦力発掘へ一定の手応えを得た一方で、「時間が足りなかった」と永友TDは言う。
「コンディション含め、エディーさんとしても見切れていなかった部分もあると思う。(2番や10番など)コアメンバーの所で、エディーさんに情報が全部入っていなかったというのは感じている。10番で言えば中楠(一期)選手や伊藤(耕太郎、共にBR東京)選手が欧州遠征に来てくれたが、呼んでその中で見るしかなかったというのも正直なところかなと。(代表始動の)6月までに選手を見る時間は足りなかったと思う」
指導陣も刷新され、チーム作りの1年になった。永友氏は、グラウンド内外での選手、コーチ陣のコミュニケーションの課題も指摘した。欧州遠征では、選手から「互いに成長しないといけない」との声も挙がっていた。
「選手、コーチ自らが行動を起こし、コミュニケーションを取る環境を作っていかないといけない。そこが足りなかった、グラウンド内外で見直さなければならないと、自分自身反省している。言葉のニュアンスで(指示などが)伝わっていない部分もあったと思う」
改善策の一案には、日本人スタッフの増員があると言う。シンプルに、言葉の壁を低くする。
「今後エディーさんとも話していくが、どうしても今は外国人コーチが多い現状がある。日本人コーチももっと入れながら、選手たちが日本語でのコミュニケーションを取りやすい環境を作ってあげたい。当然、通訳に問題があるわけではないが『自分はこう言いたい』と思っていても、互いにニュアンスの部分で伝わっていない所もあると思う。来季のステップとして取り組んでいきたい」
FBに20歳の矢崎由高(早大2年)、SHに25歳の藤原忍(東京ベイ)らが台頭した一方、SOは11試合で5人が先発。「超速ラグビー」の司令塔の核は最後まで定まらなかった。ジョーンズHCは、欧州遠征は負傷で外れた李承信(神戸)が一番手と明言。「2番手がいない」と語った指揮官の求める10番像を、永友氏はこう見る。
「プレッシャーがかかった中での正確なプレー、判断を10番には求めていると思う。プレッシャー下でも正確なタッチキックが蹴れる、パスができるなど。そのスキルを正確にできるレベルに、選手が達していないということ。エディーさんが(代表から15年に)離れて久しぶりに戻ってきて、自分と話をする中でそのスキルが欠けている、レベルを上げないといけないという所はすごく話をしていた」
チームとして「超速ラグビー」を体現するのは選手の運動量。ボールを持った以外の動きを「ゴールド」と位置づけ、各試合を分析して選手にフィードバックしているという。目指すラグビーの浸透を感じつつ「次、代表に招集される時に0にしないことが大事」と永友氏は言う。
「ボールを持っていない時の運動量で、日本は勝つ。チームで独自に、立ち上がる速さやポイントに行くまでの速さを一つの指標として、フィードバックしている。他国と比べると、ゴールドの反対、つまり動けていない『レッド』の時間帯は、実はまだニュージーランドやイングランドなどと比べると多かった。テストマッチを11試合やって、選手の意識は変わってきたが、あとはリーグワンが始まり、次代表に招集される時、0にしないことが我々の仕事。対チームに対するコミュニケーションを大事にしていきたい」
チームを総合的にマネジメントする永友氏は、ジョーンズHCに“物言う”立場も担っている。より「ワンチーム」を目指す上で、自身の役割についても力を込める。
「勝つための準備で必要なことはあるが、時にはエディーさんに対して『NO』を言えるかも重要になる。エディーさんと討論ができるようにならないといけないし、他のスタッフが思っていることに気がついてあげるのも、自分の仕事。エディーを取り巻く環境を、しっかり見ていかないといけない。日本ラグビーの将来ことを考え、互いに本音をぶつけ合いながらやっていかないと、時間がないと思っている」
第2次エディー・ジャパンは来年、欧州や南半球のチームと10試合前後のテストマッチを予定。日本協会は、世界ランクなどを指標に首脳陣を評価していくとしている。より厳しくなる目に、永友氏も背筋を伸ばす。
「世界ランクでW杯の組み合わせも決まる。我々としては、決まった試合に対してどう準備をしていくか。いいところは継続して、切るべきものは切っていく。来年は、50点から80点くらいには上げていき、27年には100点まで持って行かないといけない。危機感を持って、取り組んでいきたい」
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