【阪神】藤川監督、新代打の切り札候補を発見「一球にかける思い強い」掛布OB会長と新春対談<中>
スポーツ報知 / 2025年1月1日 5時1分
阪神・藤川球児監督(44)と掛布雅之OB会長(69)=スポーツ報知評論家=が新春スペシャル対談を行った。ともに就任1年目となる投打のレジェンドが打倒巨人へ、強力タッグを結成。FA宣言の末に残留した大山らの気になる打順に投手陣の構想や期待の若手、捕手の起用プランなどたっぷりと語り合った。(取材・構成=島尾 浩一郎、小松 真也)
掛布OB会長(以下、掛)「それでは、秋季キャンプに参加した若手メンバーの中に、私たちが気になるような真新しい選手はいましたか」
球児監督(以下、球)「いましたね。打者で言うと、まずは豊田(※1)。昨年1軍で使われていましたけど、2軍でも3割近く打って、小谷野、上本両打撃コーチがアプローチの仕方がすごくいい、と」
掛「形がいいんだ」
球「構想の一つとしては、大事な場面での代打枠。実績はまだありませんが、一球にかける思いが強い。若手では一番年齢が上の方(27歳)になるので必死にやろうとしているところも考えれば、彼の打撃は1軍のどこかに置いておきたいな、と。ほかにもたくさんいますけど」
掛「監督が迷うぐらい秋季キャンプで手応えを感じた選手がいるということは、1年間戦う野手のスタミナもあるということ。レギュラー陣に関して143試合、すべてのゲームに出させるこだわりはありますか」
球「正直、フルというのは現代の野球では向かないと思っています」
掛「でしょ。選手のいい状態を長く続けるためには、休みを与えた方がいい」
球「野手の担当コーチもシーズン途中で体力がかなり落ちてくる、と。それでも、春から5月、6月ぐらいまではしっかり、チームづくりのために出していいとは思っています」
掛「専門分野の投手陣はどうでしょう」
球「一番後ろから計算して、今は実績のある岩崎が9回。その前には石井、桐敷、ゲラ、岡留に島本もいます。現役ドラフトで獲得した畠やドラフト1位の伊原、新外国人も。いかに僅差を制することができるか、という意味では3連投をさせられませんし、6回の途中から継投を考えなければいけない日も出てきます」
掛「桐敷にしても、そこまで登板数(昨季リーグトップ70登板)が増えずに、いい形で1年間乗り越えさせたい気持ちはあるんですか」
球「物足りないと思うと今度は調整が難しくなるんです。投げたいのに…というのは避けたい。そういう部分では、先発投手の球数管理が非常に大事です。才木が昨シーズン、7月中旬に130球を超す完投をして8月以降はボールの精度に影響が出て、少し数字が落ちていました(※2)。甲子園はやはり暑いので、その時期には完投ではなく、もう任せられるリリーフ陣の形をつくっておきたいですね」
掛「先発の顔ぶれに新しい候補はいますか」
球「なかなか現実主義でして。現有戦力でぎりぎり優勝できなかっただけであって、まくるにも少し時間が足りなかったという印象がありますので。だから、新戦力を無理には…」
掛「今の先発陣は指が折れますものね」
球「門別という投手はいますが、まだまだ若い」
掛「そこに期待してはおかしい。実績ある先発メンバーがいるわけですから」
球「その通りです」
掛「ここ2年、岡田前監督も相当無理してリリーフ陣を使っていた。監督も実体験から、疲労が翌年に残ることはないんですか」
球「あると思います」
掛「やっぱり」
球「春先は特にエンジンのかかりが悪くなります」
掛「自身の経験をいろいろ話しながら、ちょっと遅れてもいいよ、というような考えでいくわけですか」
球「昨シーズンも石井が少し遅れたんです。彼が(球団本部付)SA(スペシャル・アシスタント)をやっていた私のところに来て、『ボールがいかないんですけど』と。『大丈夫。エンジンのかかりが遅いぐらいの方が終わったときにいいから』と伝えました」
掛「監督も夏場ぐらいから上がっていったタイプ」
球「実際に私は、1か月半か2か月間しかエンジンの5速、6速には入っていなかったんです。才木も昨春のキャンプで一番最初に『ボールがいかない』と、相談に来ました。『大丈夫やって、浩人。それでいいんだ』と言いましたけど、結局、最後まで投げ抜きましたから。才木、石井は速球派です。それで言うと、今シーズンは桐敷がそこに当たるかもしれません。ただ、僕は分かっているので、その分ではバックアップを強めに」
掛「そうか。そういうのもあるんですね」
球「いいところを厚めに。これはずっとタイガースのストロングポイントです。良かったところにバックアップの投手を入れておくと、相乗効果で層が厚くなるんです」
<下>に続く
※1 豊田は日立製作所から21年ドラフト6位入団。昨季はプロ初安打を放つなど、11試合で打率2割1分1厘。藤川監督の昨秋キャンプMVPに選ばれた。
※2 才木は昨年7月16日の巨人戦(東京D)で自己最多133球の熱投も、9安打2失点で完投負け。8月は4登板で2勝したが、月別ワーストの防御率4・13だった。
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