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元広島監督・阿南準郎さんを名捕手が懐かしむ「手を抜いたヤツは黙ってスタメンから外す。恐怖の放任主義」

スポーツ報知 / 2024年12月29日 8時30分

86年の日本シリーズ(西武・広島)第3戦で決勝打を放った達川光男選手(左)と握手する阿南準郎監督

 2024年も多くの著名人の方々が鬼籍に入られました。スポーツ報知では、身近な人の証言や知られざるエピソードとともに、故人をしのびます。

* * *

◆7月30日 元広島監督・阿南準郎さん(死因非公表・享年86歳)

 これまで多くの監督を見てきたが、私にとって一番に怖い人は阿南さんじゃった。星野監督時代の阪神でコーチをしてたときも緊張感があったけれど、怖さの質が違う。

 例えば凡ミスをすると星野さんは選手を猛烈に怒るわけよ。でも翌日は何事もなく試合に起用する。でも阿南さんは違う。手を抜いたヤツは黙ってスタメンから外すから。恐怖の放任主義です。人当たりはいいので少しナメていた選手もピリッとしたね。

 だからミーティングもしなかった。就任1年目の開幕前、「130試合(当時の全試合)使うから」とだけ言われました。となると自分で考えるしかない。

 全試合出場するには何よりもコンディションを整えることが大事。あまり飲み歩くこともできない。遠征先でも門限なんてなかったけれど、自然と節制するようになるんじゃよ。

 自身についても飾ることなくクールでした。監督就任会見での言葉が忘れられません。「誰もやる人がいないから私がやるだけ。(地味なので)観客動員は期待しないでほしい」―。だけど優勝もしたし、勝つことで観客動員も増えた。指揮官として戦った3シーズンは全てAクラスですから。

 とにかくカッコええとしかいえん人。広島の選手は全員パンチパーマじゃったけど、髪形もソフトでオシャレだったし。私は仲人もしてもらったんじゃが「今回だけだぞ。次回はやらんから」なんて面白いことも言うんですよ。(広島OB・達川 光男)

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