【2024年レース回顧】緻密な計算が実を結んだテンハッピーローズの米国遠征 陣営「感動して声が出なかった」
スポーツ報知 / 2024年12月31日 7時15分
津村明秀騎手騎乗のテンハッピーローズ(右端)は、直線先頭に立つもゴール前で交わされ4着に敗れる。 優勝はモアザンルックス(左から2頭目・黄紺帽)、2着ヨハネス(右から2頭目・桃帽)。 (カメラ・高橋 由二)
◆ブリーダーズカップマイル・米G1(11月2日、デルマー・芝1600メートル、10頭立て=良)
5月のヴィクトリアマイルを単勝208・6倍で制したテンハッピーローズ(牝6歳、栗東・高柳大輔厩舎、父エピファネイア)。秋はブリーダーズカップマイルを目標に、「本番はスピードが求められるので」(高柳大調教師)と、前哨戦に新馬戦(1着)以来となる1200メートルのセントウルSを選択。休み明けの影響もあり7着だったが、コンマ5秒差にまとめて渡米した。
ヴィクトリアマイルの坂路での最終追いが、頭を左上に高く向けて話題になったように、調教が難しい馬。坂路がないアメリカでの調整はどうだったのか。調教パートナーの平(たいら)助手は「普通キャンターは大変でしたね。津村さんも『やっぱキツい』と言ってました。コースのポケットでハッキングをしたり、左回りのダート調教だけでした。爪のこともあるので、追い切りもダートでしましたが、しっかり動けて、満足いく状態で出せました」と振り返る。セントウルSの1週前追い切りでは、津村騎手を呼んで栗東・CWコースで追い切り、米国でのトラック調整を見据えていた。
レースは外枠からスッと2番手につけ、前走で1200メートルを使った効果を実感。直線でいったんは完全に抜け出し、残り100メートルまで先頭に立つ見せ場十分の4着だった。スタンドで観戦した平助手は「感動して声が出なかった」そうだが、余韻に浸る間もなく、僚馬テーオーサンドニ(ブリーダーズカップダートマイル9着)のパドックを引っ張りに行った。急きょレース順が変わってバタバタしたが、直前まで栗東・森秀行厩舎のスタッフが手伝ってくれたそうだ。平助手自身、海外に行くこと自体も初めてで「フォーエバーヤングの荒木助手(矢作芳人厩舎所属)に最初から最後までお世話になりました。テーオーサンドニはベストターンドアウト賞をもらったんですが、森(秀行)厩舎の方々のおかげですね」とチームジャパンに感謝した。
次走は1351ターフスプリント・サウジG2(2月22日、キングアブドゥルアジーズ競馬場・芝1351メートル)が目標。「コーナー4つであの競馬ができて収穫がありましたし、ホントに今、調子いいんだなと。充実しています。ヴィクトリアマイルがフロックじゃなかった」と同助手。来年も人馬ともに応援したい。(中央競馬担当・玉木 宏征)
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