「最後の言葉が褒め言葉で良かった」東京国際大・日本人エース佐藤が11月に死去の横溝監督への感謝を胸に「過去最高5位狙う」
スポーツ報知 / 2024年12月31日 6時0分
第101回箱根駅伝(来年1月2、3日)で、東京国際大は2年ぶりに復活出場する。前回は予選会で3秒差で出場を逃したが、チーム全員がその悔しさを忘れず、今回の予選会(10月19日)は8位で通過。体調不良にもかかわらず現地で選手を見守った横溝三郎監督が、それから1か月もたたない11月14日に肝臓がんのため84歳で逝去。日本人エースの佐藤榛紀(4年)をはじめ東京国際大のランナーは悲しみを乗り越え、横溝監督への感謝を胸に新春の箱根路に挑む。
埼玉・坂戸市にある東京国際大駅伝部トレーニングセンター。ユニホーム、タスキと一緒に、写真の中の横溝監督はほほ笑んでいる。
スタート時の気温が23・2度と季節外れの暑さになった10月19日の予選会。横溝監督は体調が思わしくない中でも駆けつけ、選手を激励した。わずか3秒差の次点敗退から1年。チームで日本人トップの佐藤、同2位の大林洸己(4年)ら上級生が踏ん張り、8位通過を果たした。「横溝監督に『榛紀、よく頑張った』と言ってもらいました」と佐藤は振り返った。
しかし、その後、横溝監督は入院。11月14日に帰らぬ人になった。「予選会の後、横溝監督とお会いすることはなく、予選会の会話が最後になりました」と佐藤は静かに話した。
恩師を失った悲しみ。箱根を走れる喜び。東京国際大の選手はさまざまな思いを胸に新春の晴れ舞台に立つ。
特に佐藤の思いは強い。自他ともに認める日本人エースだが、箱根は初出場となる。3区に登録された佐藤は「一番、走りたかった区間です」と意欲を示した。
佐藤の大学駅伝は最高の形で始まった。1年時の出雲駅伝で2区4位と好走し、優勝に貢献した。今回の登録選手計336人のうち3大駅伝で優勝メンバーとなった選手は20人だけ。「自信になった」と貴重な経験を語るが、その後、箱根への道は遠かった。1、2年時は故障で欠場。3年時は予選会で敗退したため走路員を担った。黄色のスタッフ用ベンチコートを着込んで沿道整理を務めながら箱根を走る他校の選手を見た。「やっと箱根駅伝を走れます」と実感を込めて話す。
中村勇太監督代行(38)が指揮する東京国際大はユニホームに喪章をつけて走る。「横溝監督にかけてもらった最後の言葉が褒め言葉で良かった。僕の支えになる。チーム目標はシード権(10位以内)。さらにチーム過去最高の5位(20、22年)を狙います」。佐藤は柔らかな笑みをたたえて固い決意を明かした。(竹内 達朗)
◆東京国際大 1965年、国際商科大として創立。86年から現校名。2008年に野球部の監督に元広島監督の古葉竹識氏を招くなど、複数の運動部を強化。駅伝部は11年に中大OBの横溝三郎総監督、大志田秀次監督体制で創部。箱根駅伝は16年に初出場して17位。最高成績は初のシード権を獲得した20年と22年の5位。21年出雲駅伝では学生3大駅伝初優勝。全日本大学駅伝は19年の4位が最高。練習拠点は埼玉・坂戸市。タスキの色は紺青。長距離部員は68人、学生スタッフ10人。主なOBは東京五輪1万メートル代表の伊藤達彦(ホンダ)。
◆佐藤 榛紀(さとう・はるき)2002年4月6日、三重・桑名市生まれ。22歳。マラソン15戦10勝の瀬古利彦さんの実家と近所。瀬古さんの母校の四日市工で全国高校駅伝2年4区9位、3年1区29位。3年時に5000メートルで東京五輪マラソン代表の中村匠吾(現富士通)が持っていた三重県高校記録を更新(13分50秒31)。21年に東京国際大人間社会学部に入学。同年の出雲駅伝2区4位で優勝。卒業後は住友電工で競技を続ける。164センチ、52キロ。
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