前身・伏見工魂で9大会ぶり16強!「平尾2世」京都工学院・2年生杉山祐太朗が40メートル先制PG
スポーツ報知 / 2024年12月31日 5時55分
◆全国高校ラグビー大会(30日、花園ラグビー場)
2回戦16試合が行われ、統合前の伏見工時代に優勝4度の京都工学院が、Bシードの中部大春日丘(愛知)を15―7で破り9大会ぶりに16強入りした。2年生SO杉山祐太朗が先制の40メートルPG成功、フッカー川口士央(しおん、3年)が決勝点を含む2トライと活躍した。
試合終了の笛が鳴ると、伝統の赤黒ジャージーに身を包んだ選手たちは抱き合って喜び、第3グラウンドがすし詰めとなる1万人の観客からは大歓声が湧き起こった。京都工学院がシード校を破り、伏見工時代の15年度以来の年越しが決定。同校を強豪に育てた“泣き虫先生”こと山口良治総監督(81)はスタンドから見守り「やっと目標のシード校を倒すことができた。年を越せて本当にうれしい」とうなずいた。
激しいタックルが飛び交い前半は0―0。均衡を破ったのは後半5分、元日本代表SO平尾誠二さん(故人)の“2世”と称される杉山が40メートルのPGを沈めて3点を先取。山口氏も「大事なキックをしっかり決めてくれた」と褒めた。その後、逆転を許したが、元トップリーグ選手でセコムに所属した和晃さん(44)を父に持つ川口のトライもあり、再逆転で16強入りを果たした。
ドラマ「スクール☆ウォーズ」のモデルとなった名門も近年は低迷。転機は今春の近畿大会準々決勝にあった。花園への壁となっていた京都成章に22―27で負けはしたが、大島淳史監督(42)は「力負けじゃなかった。チームとして成章を意識しすぎていた。全国大会で勝っていくための活動をした」と手応えをつかみ、取り組み方を変えた。
「守備の重要性を感じ、ひたすら守備の練習」と川口。強度が高く、例年は月1回程度だったダミーに5分、対人に5分のタックルを繰り返す「5分間タックル」を、週1回行った。伏見工の原点とも言える泥臭く、ひたむきな姿勢がよみがえると、因縁の京都成章を破って9大会ぶりに花園切符を手にした。
次戦は同じくシード校の国学院栃木との元日決戦。会場は第3から、メインの第1グラウンドへ移る。指揮官は「第1グラウンドでもう一度シード校を倒すと、ずっと選手たちに伝えてきた。達成したい」と気合を入れた。シード校連破へ。名門の野望は、花園に戻ってきただけでは終わらない。(森口 登生)
◆「スクール★ウォーズ~泣き虫先生の7年戦争~」 1984~85年放送のTBS系連続ドラマ。75年4月から伏見工(現・京都工学院)の監督に就任し、80年度に花園初優勝を果たした山口良治氏がモデル。俳優・山下真司(73)が演じる主人公の熱血教師・滝沢賢治が赴任した川浜高校の弱小ラグビー部を全国優勝に導く物語で、敗戦後に「お前らそれでも男か! 悔しくないのか!」と部員を殴るシーンが有名。ラグビーブームを巻き起こした。
◆京都工学院ラグビー部 伏見工と洛陽工が合併統合し、2016年に開校した京都市立高。ラグビー部は伏見工時代の1959年創部。花園は79年度に初出場し、80、92、00、05年度と計4度優勝。現部員はマネジャーを含め106人。主なOBに、元日本代表SO平尾誠二(故人)、同ロック大八木淳史、同SH田中史朗、日本代表SO松田力也(トヨタ)ら。所在地は京都市伏見区。
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