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「日本の皆さんに『気』を送ってもらわなければ」森保ジャパン「進化」の1年へ指揮官が描く展望

スポーツ報知 / 2025年1月1日 5時0分

25年の目標を「進化」としたためたサッカー日本代表・森保監督(カメラ・中島 傑)

 サッカー日本代表の森保一監督(56)が報道各社の合同インタビューに応じ、2026年北中米W杯で目指す世界一に向けて「進化」を25年の目標に掲げた。アジア最終予選C組で首位を独走中の日本は、3月20日の次戦・バーレーン戦(埼玉)で勝利すれば、3試合を残して史上最速、8大会連続のW杯出場が決まる。最速突破への決意を語り、9月以降の親善試合では、強烈な結果と存在感を放つ「新戦力」の台頭を求めた。(取材・構成=星野 浩司)

 アジア最終予選を5勝1分けで首位独走。8大会連続W杯出場に王手をかける森保監督は、25年の抱負を「進化」と色紙に記した。

 「W杯の出場権をつかみ取れるように、一戦一戦を戦いながら進化、成長、前進したい。W杯で勝つ、世界一になるためにパワーアップしていきたい」

 指揮官が言う「パワー」とは2つの意味がある。

 「まずは勝つ力、選手層や戦術の幅を広げるパワーアップをしたい。聞こえはすごくいいけど、ややもすると混乱する、自分たちが立ち返る場所が見えなくなることに陥る時もあり得る。ベースは忘れることなく増やしていきたい」

 もう一つは、サッカーに関心を持つ人の輪を広げ、増やすこと。18年ロシアW杯はコーチ、22年カタールW杯は監督として参加し、強く感じたという。

 「南米のチームのファンは家や車、生活をなげうってW杯に来たり、モロッコはチケットを持ってない人がカタールに応援に来てくれて、すごく勢いが出て勝っていた。世界一を目指すことを考えた時、競技の力だけで勝てる場じゃない。日本や世界各国にいる日本人の皆さんに『気』を送ってもらう。そのパワーがなければ勝てない。応援の輪、同じ志を持ってW杯に挑戦したい。(人気アニメ「ドラゴンボール」の)元気玉のイメージ? そうですね。いいと思います」

 日本史上初めてW杯後も続投。第2次政権2年目となった24年1~2月のアジア杯は、「歴代最強」と評されながら8強敗退。

 「タイトルを取れずに終わってしまった悔しさ、足りない部分はあった」

 1次リーグでイラクに敗れるなど、中東勢のロングボールやクロス攻撃に苦戦。準々決勝・イラン戦は選手交代、4バックから3バックへの変更が効果的にできず、終盤に逆転負けした。

 「交代をもっと早くしていれば、戦術変更があれば勝てたかなという、采配の部分の的確な判断と決断ができるようにという局面ではあった。大振りのどストレートのパンチばかり繰り出してもカウンターでやられてしまうところがアジア杯では出た。しっかりガードを固め、いい守備からいい攻撃のパンチを繰り出していくのを忘れてはいけない」

 24年は元日の親善試合・タイ戦を除けば全て公式戦。真剣勝負で勝利を重ねながら、6月以降は攻撃的な3バック布陣へ変更するなどトライした。

 「落とせない試合でどう今の勝利と未来をつなげていくかを考えさせてもらえた。世界のトップ基準を目指し、世界の競争力の中で力を確実につけて進化できた。チームの完成度? 50~60%くらい。9月から親善試合ができて、また見えてくるものはある。目標は決まっているので、常に現状から積み上げていくことを考え、最後どこまでいけるのかの挑戦でもある」

 カタールW杯は最終予選から本大会まで約8か月だったが、今回は6月に同予選を終えた後に約1年間の準備期間がある。

 「戦術を試すことと、力のある選手を新たに招集して、できる限り見たい。チャンスがあれば3バックも4バックも試したい。最強、最高のチームをつくりたい」

 攻撃陣は三笘薫、久保建英、南野拓実、堂安律、伊東純也ら、日本歴代屈指の選手層を誇る。新戦力への期待とハードルは高い。

 「招集しても、力として全然達してもいないのに、ただ経験させているだけだとなると、もともとのコアな選手までもモチベーションが下がり、チーム自体がそこに引っ張られていくことはあるかもしれない。すごく考え、慎重に招集しないといけない。なかなか招集されない選手には、誰もが『呼ばないのはおかしい』って言うぐらい、結果と存在感を自チームで見せてほしい」

 ◆日本のW杯出場条件 日本は3月20日のバーレーン戦に勝利すれば、他会場の結果とは関係なく、8大会連続のW杯出場が確定する。3試合を残しての出場決定は史上最速となる。日本が引き分けた場合、サウジアラビア(中国戦)とインドネシア(オーストラリア戦)のいずれかが引き分け以下に終わった時点で日本のW杯出場が決まる。日本が負けた場合、同25日のサウジアラビア戦以降に持ち越される。

 ◆森保 一(もりやす・はじめ)1968年8月23日、静岡・掛川市生まれ、長崎市育ち。56歳。長崎日大高から87年にマツダ(現広島)入団。92年に日本代表初選出。国際Aマッチ35試合1得点。京都、広島、仙台を経て2003年シーズン限りで引退。J1通算293試合15得点。05年からU―20日本代表コーチ。12年に広島監督に就任し、J1優勝3度。17年10月から東京五輪代表監督。18年7月からA代表と兼任監督。21年東京五輪4位。22年カタールW杯16強。26年W杯まで続投。家族は妻と3男。

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