【箱根駅伝】給水“乾杯”の盟友明かした「田中が寮で泣いている姿をよく見ました」連覇の青学大主将、前哨戦完敗の不安振り切り力走
スポーツ報知 / 2025年1月4日 5時0分
◇第101回東京箱根間往復大学駅伝競走復路(3日、神奈川・箱根町芦ノ湖スタート~東京・千代田区大手町読売新聞社前ゴール=5区間109・6キロ)
往路優勝の青学大が復路も新記録の2位と安定し、10時間41分19秒の新記録で、2年連続8度目の総合優勝を果たした。復路スタートの6区で野村昭夢(4年)が区間新で勝利を引き寄せ、今春から地方局でアナウンサーになる9区・田中悠登主将(4年)も「引退レース」で区間2位と力走。今大会に向けて「あいたいね大作戦」を発令した原晋監督(57)は「300%大成功」と胸を張った。5時間20分50秒の新記録で復路優勝した駒大が総合2位。初優勝と学生駅伝3冠を狙った国学院大は総合3位だった。(晴れ、0・8度、湿度88%、北西の風0・3メートル=スタート時)
箱根の強さがまたも際立つ快勝だった。青学大は昨年樹立した大会新記録をさらに6秒短縮し、この11年で8度目の頂点。4連覇した2018年以来の連続優勝となり、原監督は「もし今年勝てなかったら、箱根で戦う『原メソッド』を根本から変えないといけないと思っていた」と安ど。ゴール後には歓喜の胴上げで、優勝回数と同じ8度、宙を舞った。
強さと総合力を象徴するシーンだった。9区14・4キロの給水地点。首位を走る青学大の田中主将と給水係の片山宗哉(4年)がボトルで乾杯。盟友の力水を受けて田中は最も苦しい残り約9キロを走り切った。
「みんなでつかみ取った優勝です。最高の仲間と最高の景色が見られた」。9区を走り終えた後、電車に飛び乗り、優勝のゴールテープを切った1年生アンカー小河原を出迎えた田中は目を潤ませた。給水の乾杯については「スポーツマンシップに乾杯!ですね」とテレビCMのように笑った。
前哨戦の出雲と全日本は国学院大、駒大に完敗した。「負けて不安な気持ちもありました」と田中は振り返る。結果が出ず、盟友の片山は「田中が寮で泣いている姿をよく見ました」と明かした。決して腐らず、選手だけのミーティングを重ねた。どうすれば強くなるかを議論した。エースの太田蒼生(4年)が「エース頼りのチームでは勝てない」と仲間を叱咤(しった)することもあった。その様子を遠目に見ていた原監督の妻で寮母の美穂さん(57)は「4年生には箱根で勝つという気迫がありました」と回想。最上級生を中心に、箱根路へ徐々にチームはまとまっていった。
4年間で一度も選手として箱根駅伝を走れず、給水係として50メートルだけ走った片山は「他のチームだったら箱根駅伝を走れたかも、と思うこともありました。でも、今は青学大に入って良かったと心の底から思います」と話した。
本番直前には大ピンチもあった。区間エントリーが行われた昨年12月29日、寮外生の複数の女子マネジャーがインフルエンザに感染。しかし、原監督、片桐悠人主務(4年)を中心に危機管理は完璧だった。普段は練習記録の管理などのマネジャー業務を選手寮内で行っているが、例年12月に入ると、感染予防のため、練習グラウンドにテーブルを設置して屋外で行う。その取り組みのおかげで選手寮で暮らす選手の感染者はゼロ。出場した10人は完璧な体調で箱根路を駆けた。
原監督は「インフルエンザが大流行しているので、電車で練習グラウンドまで通って外で仕事をしている女子マネジャーが感染してもしようがありません。普段からチームのために頑張ってくれています」とチームを支えてきたことに最大限の敬意を表した。
選手、マネジャー、スタッフ、全員の総合力で連覇を果たした。「今季のチームスローガンは『大手町で笑おう』。優勝して大手町で笑いあいたい」と狙った原監督の大作戦は、今回も大成功した。(竹内 達朗)
◆青学大 1918年創部。箱根駅伝は43年に初出場。2004年に原監督が就任。09年大会で33年ぶりに本戦出場を果たし、15年から4連覇。20、22、24、25年も制して優勝8回。出雲駅伝は優勝4回。全日本大学駅伝は優勝2回。16年度は学生駅伝3冠。練習拠点は東京・町田市と神奈川・相模原市。タスキの色はフレッシュグリーン。長距離部員は選手46人、学生スタッフ15人。主なOBは「3代目・山の神」神野大地(M&Aベストパートナーズ選手兼任監督)、ハーフマラソン日本記録の小椋裕介(ヤクルト)、24年福岡国際マラソンで日本歴代3位の2時間5分16秒で優勝した吉田祐也(GMOインターネットグループ)。
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