1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 芸能
  4. 芸能総合

「勝負の22時またぎ」紅白後半は「歌」が主役、シンプルなステージで活路、ホール生歌唱にこだわりを

スポーツ報知 / 2025年1月5日 9時0分

第75回NHK紅白歌合戦に出場し、サプライズでNHKホールで熱唱したB’zの稲葉浩志(右)、松本孝弘

 「22時またぎが勝負になる」

 12月に入って「第75回NHK紅白歌合戦」の取材を進めていくと、こんな声が聞こえてきた。TWICE、Number_iで勢いを付け、特別企画のB’zにつなげる時間帯。NHK制作陣はここを一番の山場に設定。狙い通り、紅白会場を“LIVE―GYM化”させることに成功した。

 B’z側も、出るからには「NHKホールで歌うこと」にこだわったという。本番数日前から厳戒態勢が敷かれ、B’zの生歌唱を知るのは、ごくわずかなスタッフだけ。入出には最善の注意が払われ、ホールでのリハーサルも司会や出場歌手がホールの敷地内から退出を確認した後、最低限の人数で実施された。

 2部の平均世帯視聴率は、前年の31.9%を上回り32.7%だった(いずれもビデオリサーチ調べ、関東地区)。テレビの視聴習慣も多様化しており、近年、平均世帯視聴率が常時30%を超えるのは、野球のWBC、サッカーのFIFAW杯のようなスポーツの国際大会ぐらい。音楽の聴き方も世代によって様々で、昭和のような国民的ヒットが生まれにくい状況。とあれば、数字以上の価値を生んだと言っていい。

 実際に放送から5日が過ぎたが、いまだに余韻が残り、YouTubeチャンネル「NHK MUSIC」のB’z「ultra soul」の再生回数は600万回超。紅白の話題は尽きない(しかも好意的な意見が多い!)のだから、制作陣は胸をなで下ろしていることだろう。

 今回、際立ったのは緻密さ。視聴者のターゲットが明確化し、別の番組を見せられているかと思うほど、前半と後半で毛色が違っていた。

 前半、20時まではちびっ子から中学生までのティーン世代。「歌って踊ろう! KIDS SHOW」を筆頭に、小学生が学校で踊るILLIT、こっちのけんとが登場した。20時からは若年層にシフトし、昨今の音楽シーンのトレンドになったダンスグループがズラリ。BE:FIRSTとTOMORROW X TOGETHERによる初コラボを織りまぜるなど、歌以上にダンスパフォーマンスにフィーチャーした演出になった。

 後半は「歌」を主役に据え、実力派の歌い手を並べた。ダンサー、芸人らによる華やかな演出を極力避け、例年に比べてバックバンドも目立たない位置に配置。THE ALFEEや氷川きよし、玉置浩二、MISIAに象徴されるように、シンプルなステージングに徹し、アーティスト個々人の持つ歌力、表現力に託して活路を見いだした。

 中継出演や収録出演の数は、この2、3年と変わらず横ばい。ただ、被災地の輪島市内の中学校から出演した坂本冬美、「あなたへの歌」の企画で群馬県内の民家を訪ねた純烈、連続テレビ小説「虎に翼」のロケ地だった名古屋市市政資料館から歌声を届けた米津玄師らには、中継出演、収録出演の「意味」を持たせていた。

 最後に。なぜ、B’zが世代を超えてあれだけの一体感を生んだのか。その答えは、NHKホールで生歌唱だったから―に尽きる。スタジオで「LOVE PHANTOM」「ultra soul」を歌っても、恐らくあれ以上に盛り上がることはない。

 近年、記憶に残る紅白と言えば、サザンオールスターズが最終歌唱者を務めた2018年まで遡る。NHKホールが大きな盛り上がりを見せた年はおおむね好評だが、そこには「LIVE」でしか味わえない、「LIVE」でしか伝わらない感動があるから。

 マイクトラブルこそあったものの、結果的に、稲葉浩志の圧倒的な歌唱力、国民的ロックバンドと言われる由縁を知らしめることになった。年々、出場歌手の要求が強くなっているとされるが、制作陣は「ホール生歌唱」にこだわり続けてほしい。(音楽担当キャップ・加茂 伸太郎)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください