箱根連覇から27時間後のガチミーティング 担当記者が潜入して見た青学大の強さの正体
スポーツ報知 / 2025年1月5日 5時30分
第101回箱根駅伝(2、3日)で、総合新記録の10時間41分19秒で2年連続8度目の総合優勝を飾った青学大は歓喜から一夜明けた4日、東京・町田市の選手寮でミーティングを行い、出場10選手がサポートに徹した仲間への感謝など、さまざまな思いを伝えた。前夜は年に1回だけの酒宴を開き、この日の昼は日本テレビで番組収録。楽しい時間を過ごした後、チーム全員が出席して大会を総括した。原晋監督(57)に特別に取材を許可された竹内達朗記者が、箱根王者のリアルでガチンコなミーティングを「見た」。
「大手町で笑えた!」。大きな文字が躍る連絡用のホワイトボードが真っ先に目に映った。青学大のゴール地点での歓喜から約27時間後。午後4時30分から始まったミーティングに足を踏み入れると、浮かれたようなムードは皆無だった。
静まりかえった室内。主将の田中悠登(4年)が目を潤ませながら話す。「この4年間、苦しいことの方が多かった。今、苦しい状況の人もいるでしょう。箱根を目指すことは苦しいけど、それだけの価値がある。昨日の大手町の景色を一生忘れません」。チーム内の厳しいメンバー選考を勝ち抜き、箱根路ではライバル校に競り勝った出場10人がそれぞれ熱い思いをはき出した。優勝の事後の反省会とはいえ、笑顔が印象的だったチームから笑顔は消えていた。
オンとオフの切り替え。近年11回中8回も優勝している青学大の強さの理由の一つが垣間見えた場面でもあった。1区10位とやや苦戦した宇田川瞬矢(3年)は「チームテーマの『大手町で笑おう』を達成できましたが、僕は心の底から笑えているのかと今、思っています」と厳しい表情。2日の往路優勝会見ではバラエティー番組で会いたい人に「あざとい女性が好きなんです」などと話していた笑顔はどこにいったのかと思うぐらいの別人ぶりだ。普段は明るい鶴川正也(4年)は男泣き。「やっと箱根駅伝を走ることができました…。チームの支えがあって走ることができました…」と言葉を詰まらせた。
青学大駅伝チームの選手寮で飲酒できるのは1年に1度。勝っても負けても箱根駅伝復路が終わった1月3日の夜だけだ。原監督らスタッフと20歳以上の選手はアルコール類を、20歳未満の選手はスポーツドリンクを手に、この1年間を語り合った。「午前4時までのんでいました。楽しかった」と田中。勝利の美酒(20歳以上)を味わい、余韻に浸った後は、線で引いたかのように切り替えた。
4区区間賞・太田蒼生(4年)の言葉が印象に残る。「もっと、自分のエゴをむき出しにしてほしい。それが箱根駅伝で4連覇できなかった先輩の思いです。4連覇、5連覇を目指してほしい」。タスキに込められたつなぐ思い。強さはそうやって引き継がれていくと感じた。(竹内 達朗)
◆V戦士の声
1区10位・宇田川瞬矢(3年)「来年は心の底から笑えるようになりたい」
2区3位・黒田朝日(3年)「来季は強い先輩が抜けます。全員の力を合わせて今季を超えるチームをつくっていきましょう」
3区4位・鶴川正也(4年)「今回、走れなかった選手は悔しいと思う。でも、努力すれば必ず箱根に近づくということを伝えたい」
4区区間賞・太田蒼生(4年)「僕を目標としている後輩は僕に憧れるのをやめてほしい。自分のエゴをむき出しにしてほしい」
5区区間賞・若林宏樹(4年)「OBとして経験を伝えたいので、どんどん聞いてください」
6区区間賞・野村昭夢(4年)「寒い中、箱根の山の中で応援してくれたチームメートに感謝します」
7区9位・白石光星(4年)「最初で最後の箱根駅伝を走ることができました。今思うことはもう一回走りたい、ということ」
8区区間賞・塩出翔太(3年)「(最終8区で首位から3位に逆転された)全日本大学駅伝の借りを返せてホッとしています」
9区2位・田中悠登主将(4年)「初めて箱根駅伝で先頭を走ることができた。こんなに気持ちがいいものなのかと思いました」
10区区間賞・小河原陽琉(1年)「(10区のメンバー争いをした)佐藤愛斗、安島莉玖(ともに1年)に恥じない走りができた。10区の景色は最高でした」
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