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「体的には助かった」相手棄権で錦織圭ツアー6年ぶり決勝進出 大会最年長の年男「ベストを尽くす」

スポーツ報知 / 2025年1月5日 5時15分

決勝に進出した錦織

 【香港4日=吉松忠弘】元世界ランキング4位で現106位の錦織圭(35)=ユニクロ=が、2019年1月のブリスベン国際で優勝して以来、約6年ぶりとなるツアー決勝進出を決めた。同50位の商竣程(シャン・ジュンチェン、19)=中国=が高熱による体調不良で、錦織が第1セット、4―3とリードしたところで途中棄権した。ツアー通算13勝目が懸かる決勝は、初顔合わせとなる同67位のアレクサンドル・ミュレ(27)=フランス=と対戦する。

 錦織が、時速181キロのサービスエースを決め、第7ゲームを終えた時だった。ベンチに戻るはずの商が、錦織に近づいた。右手で錦織の肩を抱き、棄権することを告げた。意図していない幕切れ。錦織も「まさか、あそこでと驚いた」と目をぱちくり。複雑な表情で「彼が全豪までに回復してくれることを祈る」と、相手を気遣った。それでも、約6年ぶりのツアー決勝進出。「まさか最初の大会で決勝に来られるなんて思ってもみなかった」と自分でも驚きを隠せなかった。

 大会前は、球足の速いコートに「激速!」と不安を見せた。しかし、決勝に進んだ今は「全部(調子が)いい。特に悪いとこがない」と、絶好調宣言だ。「間違いなく、昨年末よりも感触はずっといい」と、24年11月にヘルシンキのツアー下部大会で優勝した時よりも、数段、レベルが上がっていることを強調した。

 相手が体調不良だったとはいえ、オフに改善した錦織のサーブが威力を発揮した。特に、1オールからの第3ゲーム。自分のサーブで、15―30とピンチから、2本連続のサービスエース。サービスキープを続けたことで、相手の続行する気持ちを折った。

 この勝利で、6日に発表予定の最新世界ランキングで、106位から74位にまで上昇する。「年寄りなので、あまり予選を戦わなくていいのは助かる」。今年の目標としていたトップ50入りも目の前に迫る。優勝すれば、現在69位で日本男子トップの西岡良仁(29)=ミキハウス=を抜いて、日本NO1に一気に返り咲く。

 決勝の相手は、初対戦となるミュレだ。2戦連続でフルセットを戦っていただけに、決勝に向けては「体的には、(今日)7ゲームしかやっていないので助かった」。安定感やストローク力では、錦織の方が一枚上だ。「決勝は、最高の贈り物のようなもの。ベストを尽くす」。今大会シングルス出場選手最年長の35歳、巳(み)年の年男の情熱は、まだまだ意気盛んだ。

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