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【高校ラグビー】花園目前でケガ離脱も仲間をサポート ベスト4の国学院栃木を支えたもう1人のリーダー

スポーツ報知 / 2025年1月6日 5時0分

国学院栃木の給水係を務めた立野岡拓史(カメラ・渡辺 了文)

◆全国高校ラグビー▽準決勝 桐蔭学園25―14(前半8―14)国学院栃木(5日・花園)

 国学院栃木は、前回王者・桐蔭学園(神奈川)に後半逆転負けし、準優勝した2021年度以来2度目の決勝進出を逃した。ロックの笹本直希主将(3年)を中心とした好ディフェンスで、花園を沸かせた「コクトチ」。給水係の“ウォーターボーイ”としてチームを支えたのが、ケガでメンバー入りを断念した立野岡拓史(たちのおか・たくみ、3年)だった。

 立野岡は昨年1月の新チーム発足時からベンチ入りし、控えプロップとして、途中出場でチームの流れを変える存在だった。だが、10月の練習試合で右足前十字じん帯を断裂。手術も余儀なくされ、最初で最後の花園メンバー入りが絶望となった。「ショックというか、情けなくて、風呂場で2時間ぐらい泣きました」。翌日、登校すると、国学院栃木中時代から同期の笹本、NO8金子敬亮、CTB須藤大智の3人から「ここまで本当によく頑張ったな」と、ねぎらわれ、また涙が出た。「俺たちをサポートしてくれないか」と6年間苦楽を共にした仲間に依頼され、腹は決まった。

 もともと元気があって声が大きく、2年時あたりからチーム内で「パッション(情熱)リーダー」と呼ばれていた立野岡。花園では給水係として、試合中のピッチに何度か足を踏み入れ、「集中しよう。一つにまとまれ」と仲間を鼓舞した。準々決勝は今季3戦3敗だった難敵・石見智翠館(島根)戦だったが、前日ミーティングで「同じ相手に4度も負けるな」とゲキを飛ばし、チームはAシード校を12―0と完封。30度目の花園を率いた吉岡肇監督(63)も「みんな立野岡のチーム愛や、彼をリーダーと認めている様子だった。“応援団長”として、よくやってくれた」と感謝した。

 立野岡は卒業後、系列の国学院大に進み、金子らとラグビーを続けるという。「将来は体育教員になって、母校に帰ってきたい」。中学1年時、日本開催の2019年W杯を見て感動し、ラグビー部の門をたたいた少年は、花園でのプレーこそかなわなかったが、「コクトチ」の躍進に欠かせない存在だった。

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