しのいで勝っていけば 強い照ノ富士が戻ってくる…元大関・琴風の目

隆の勝を寄り切りで下した照ノ富士（カメラ・清水　武）

◆大相撲初場所２日目（１３日、東京・両国国技館）

　２場所連続全休明けの横綱・照ノ富士が、東前頭筆頭・隆の勝を寄り切って初白星を挙げた。両膝痛や糖尿病を抱え、近年は休場も多い一人横綱は取組後、進退をかけるほどの決意で今場所に臨んでいることを明かした。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

　横綱の必死な姿に胸が熱くなった。照ノ富士は立ち合いで左上手が取れずに隆の勝にもろ差しを許した。両かいな（腕）を抱え下がりながら振り回していたら負けていた。右をおっつけながら前に出る動きで左上手を取った。これが勝負を分けたポイントだ。

　時間はかかったが、これが照ノ富士の現在地なのかもしれない。２場所連続全休明けのブランクがぎこちない流れを演出している。今場所はしのいで勝っていくしかない。そうすれば強い照ノ富士が戻ってくる。

　覚悟を決めて場所に挑んでいるのだろう。大関から序二段に落ちて、再び大関に戻って番付最高位までのぼりつめた奇跡の名横綱である。外野席が騒ぐべきではない。静かに見守るのが我々の役目でもある。

　琴桜は一番悪い相撲を取った。サンドバッグ状態で阿炎に突き出された。何をしたかったのか。硬さもあった。まだ２日目。頭から氷水を浴びせられたと思って目を覚ましてほしい。（元大関・琴風、スポーツ報知評論家）