早大 8強で大敗した1季前…「ワセダ」のプライド示した準優勝 「半信半疑」から始まったチーム再建
スポーツ報知 / 2025年1月13日 21時48分
◆ラグビー ◇全国大学選手権決勝 帝京大 33(14―12、19―3)15 早大(13日・秩父宮)
5季ぶりの優勝に挑んだ早大は、王者・帝京大に15―33で敗れて準優勝。主将のフッカー佐藤健次(4年)は試合後の会見で、目を真っ赤にして「自分たちが持っている力は出した。帝京さんが勝つ執念、そういうところで勝っていた」と、何度も涙を拭った。
昨季の大学選手権、早大は京産大に28―65と大敗して準々決勝で敗退。大田尾竜彦監督が「早稲田としてやってはいけない負け方」と言うように、最多優勝16度を誇る伝統校のプライドを打ち砕かれた。指揮官は守りの再構築を一丁目一番地に置くとともに、無記名アンケートから出た声をもとに、選手の自主性を育むことに着手。指示を与えるだけでなく「●●はどう思うの?」「何故そう思うの?」と常に投げかけ、「自分たちのチーム」という意識を、選手と共有した。
守備面では、元横浜(旧キヤノン)の佐々木隆道ヘッドコーチに指導を一任。佐々木氏は「春はディフェンスとスクラムを鍛える」と時間を割いた。相手との間合いの詰め方や、足の運びからマンツーマンレッスン。「最初の方は、タックルしかやらせてなかった。システムを落とし込むより、まずタックル。個人の感覚を聞きながら。『今、何が難しいの?』とかを面談して」。監督によれば、昨季全体で3割ほどだった守備練習は、今季8割ほどに。佐々木HCが「選手たちに、取られないというプライドが出てきたのが、粘りが出てきた要因では」と語る様に、今季関東対抗戦での平均失点は8。昨季26点からの改善は、明らかだった。
2日の準決勝では、京産大に31―19と雪辱。この日も12―14の前半終了間際、帝京大の21次攻撃を守り切るなど意地は見せた。個々のフィジカルやフィットネス、セットプレーなど上積みの必要性が明白となった敗戦。ただ指揮官は「京産大戦で大敗して、そこから本当に日本一を目指せるのか。半信半疑だったところがある。ここまで立て直してくれた健次と、4年生には感謝しかない。決勝は負けたが、去年の弱点をみんなで克服しながらやってくれた」と、フィフティーンの努力を称えた。
大田尾監督の隣で会見に臨んだ佐藤主将は、声を絞り出し語った。「1年生から4年生まで、大田尾さんのところでラグビーができて幸せだったし、最後の1年間、大田尾監督を胴上げするためにラグビーを頑張ってきた。最後そういう形になれなくて残念だけど、これを糧にラグビー人生、頑張っていきたい」。毅然と前を向いていた指揮官の目も、潤んでいるように見えた。
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