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「いずれ忘れ去られるけど、ちょっとずつ光も見えてくる」能登半島地震から10か月 ゴーゴーカレーが復興つなぐ

スポーツ報知 / 2025年1月16日 16時0分

当時、被災者のためにカレーを調理する従業員

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 2024年2月。能登半島地震発生から約1か月後、輪島市を取材した。いろいろな人に話を聞いた中で最も印象的だったのが「ゴーゴーカレー輪島店」のオーナー・里谷光蔵さんの言葉だった。「能登は地味だから、全国の皆さんからはいずれ忘れ去られるはず。復興が進まないのも覚悟しているし、町を出て行く人も増えるでしょうね」。輪島市民はみんなが同じような見解を持っている。里谷さんはそう語っていた。

 10か月後、再び輪島を訪れた。感想は「当時と変化があまりない」。1階が潰れた家屋や隆起した道路はそのまま。傾いた灯籠は当時と全く同じ角度で傾いていた。無数のショベルカーが工事に大忙し。倒壊で有名になった「五島屋ビル」は、ようやく半分ほど解体が進んでいた。

 能登では9月にも水害が起こり、復興はスピードを失った。石川県によると、輪島市・珠洲市の人口は元日から11月までの間に9%も減少。住民票を移さずに避難している人を含めると、減少率はもっと大きいという。

 帰郷を諦めている避難生活者も多い。金沢市の仮設住宅に住む60代女性は「老い先も短いですし、倒壊した輪島の家を今さら建て直す意味がない」と言った。そのほか「隆起で地形も激変したから、ふるさとへの愛着が薄れた」「能登以外の方が仕事を見つけやすい」などの意見も聞いた。

 冒頭の里谷さんの言葉には続きがある。「現実を見つめて、心を折れない程度にほどほどに頑張りながら徐々に前へ進んでいけば、ちょっとずつ光も見えてくる」。輪島市内での飲食店として、初めてカレー店の本営業を昨年2月中旬に再開させた。今では昼時に多くの市民が訪れ、にぎわいを見せている。(社会担当・樋口 智城)

 ◆樋口 智城(ひぐち・ともき) 2001年入社。北海道支社、芸能、編成などを経て文化社会部。政治、事件事故、書評など幅広く取材。

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