【記者コラム】「年なのかも」と吐露した錦織圭、ツアーの空気に再び慣れる1年に…大きなけがなく終えた全豪は再出発の一歩
スポーツ報知 / 2025年1月17日 6時40分
◆テニス ▽全豪オープン 第5日(16日、オーストラリア・メルボルン)
【メルボルン16日=吉松忠弘】元世界ランキング4位で、現在76位の錦織圭(35)の再出発は、今季4大大会開幕戦の全豪が終わった時点で、ひと区切りとなった。2回戦敗退だったが、前哨戦の香港オープンから7試合を戦い、元トップ10に3戦全勝。15日に現在世界11位のポール(米国)と互角の打ち合い。十分に戦える力を証明した2大会を吉松忠弘記者が「見た」。16日、4大大会初出場となった男子ダブルスの渡辺聖太(24)=橋本総業=、柚木武(26)=イカイ=組は敗れた。
香港でもメルボルンでも、錦織がショットを打つたびに「フン、フン!」という声が漏れた。うなる姿から少しでも勝ち、復活したい気持ちが伝わってきた。16日間で7試合を戦い、「ちょっと前の自分だったら悲鳴を上げていた」と話す通り、体に疲労や痛みはあるものの、大きなけがはなかった。
プレーに没頭できる日が、やっと来た。2回戦で敗れた後、「(休みが)2日あっても、まだ回復しない。その方がショックだった」とこぼした。当然、負けた本人はショックだ。しかし、ショックを感じられるほど、まだ心は戦える悔しさを蓄えていたのだ。
「これからですね」と話す今年からの本格的な再出発だ。香港で、いきなり6年ぶりのツアー決勝進出に、全豪1回戦では4時間6分の大逆転劇。2回戦では世界11位と互角に打ち合った。けがに苦しんだこれまでを考えると上々の滑り出しだが、すでに高みを見据える錦織は「悪くはない」と斜に構えた。
課題があることは確かだ。露呈した体力面。ツアーで戦うリズムと空気を経験し、再び環境に慣れるしかない。「年(35歳)なのかも」。それも事実だ。大会の選び方、出場回数も、考えながらの1年間となるだろう。ただ、錦織のテニスをまた見られる。それがまさしく幸せなのだ。
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