来場所32年ぶり横綱空位か…豊昇龍が痛恨3敗で昇進率0% 同じく綱取りの琴桜は6敗
スポーツ報知 / 2025年1月21日 5時25分
◆大相撲 ▽初場所9日目(20日、東京・両国国技館)
大関・豊昇龍が連敗で3敗目を喫し、今場所での綱取りが絶望的になった。東前頭5枚目・平戸海に突き落とされた。1場所15日制が定着した1949年夏場所以降に昇進した横綱33人のうち、直前場所で連敗、9日目までに3敗とも例はない。西前頭14枚目・金峰山は無傷の9連勝で単独首位を守った。西前頭5枚目・千代翔馬が1敗を守り、西同3枚目の王鵬と西同11枚目の尊富士が2敗で追う。
あっけない結末だった。わずか1秒9。豊昇龍は両手をばったりと土俵についた。立ち合いは低く当たったが、出足が鈍く、体を開いた平戸海に突き落とされた。通算7戦全勝だったお得意様に屈し、連敗で痛恨の3敗目。右手でポンと土俵をたたき、悔しさを押し殺した。支度部屋では報道陣の問いかけに「今日は(取材は)いい」と応じず。髪を整えてもらう間、思わず「フーッ」と大きなため息を吐いた。
昨年の秋場所後からてっぽうを繰り返し、先場所は突き押しで勝利を重ねた。今場所も前に出て圧倒していたが、5日目に熱海富士の小手投げに敗れて初黒星。右肘を気にするそぶりも見せた。8日目には元大関・正代を押し切れず逆に、押し倒された。黒星が増え、歯車が狂った。八角理事長(元横綱・北勝海)は「安全に勝ちたいと、上体にばかり力が入っていた。気持ちと体のバランス(が重要)だよ」と指摘。綱取りへ負けられない重圧が、体を硬くした。
1場所15日制定着以降に誕生した横綱33人のうち、直前場所で連敗して昇進した例はなし。9日目までに3敗しての昇進もない。横綱昇進の内規は「2場所連続優勝か、それに準ずる好成績」。豊昇龍は先場所、13勝で優勝次点だった。賜杯を抱き昇進の機運を高めたかったが、首位・金峰山とは3差に開いた。
昇進を預かる審判部の高田川部長(元関脇・安芸乃島)は「優勝ラインがどこまで下がるのか。平幕に3敗しているが、前に出ているし、悪いイメージはない」。八角理事長も「かみ合えば、そのうち全勝でいけるかもしれない」と奮起を促す。6日目に照ノ富士が引退。今場所で横綱昇進を決める力士がいなければ、来場所は1993年初場所以来の横綱が空位となる。同じく綱取りに挑んだ琴桜が6敗と低迷。大関として、豊昇龍にこれ以上の負けは許されない。(山田 豊)
◆3敗での綱取り 1場所15日制が定着した1949年夏場所以降で、3敗しながら横綱に昇進したのは3例。61年秋場所の大鵬と柏戸、98年夏場所の3代目・若乃花で、大鵬と若乃花は優勝した。柏戸は大鵬らとのV決定戦で敗れたが、場所後にダブル昇進を果たした。
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