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転換の過程もしっかりと 歴史を残す仕事に全力疾走 

スポーツ報知 / 2025年1月21日 16時0分

昨夏の甲子園で初優勝した京都国際ナイン

◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 入社3年目の昨年、ミキハウス・桜井俊貴投手(31)の社会人野球についてのたとえが印象に残った。「凡打でも、どこまで走るんやってくらい(真剣に)走る選手がいる。『大人版高校野球』みたい」。高校時代の桜井投手が、全力疾走に何かを思うことはなかったはずだ。こんなふうに、その状況に置かれた時は気づかなかったのに、後にすごい価値だと分かることがある。そして私は、記者になってやたらとこの感覚に出合う。

 昨夏の甲子園で、初優勝した京都国際の原稿を書くことになった。部の歴史を知るため、データベースで過去の記事を探る。初の公式戦は、小牧憲継監督(41)が現役として在籍していた京都成章に0―34で敗れたと聞いてはいたが…。99年7月17日付のデータベースには確かに、「ヒットも出た! 京都韓国学園堂々初試合」と前身校名の大敗記事があった。ただ、わずか4年後の03年には同じ夏の京都大会で8強入り。準々決勝で優勝候補の平安(現龍谷大平安)に敗れたものの、1―4と善戦している。「試合を終えたナインが球場出口から現れると、盛大な拍手がわき上がった」という。

 いずれも貴重な情報だが、京都国際が優勝していなければ、そうは感じなかっただろう。新聞記者の仕事は、ある出来事の内容を伝えると同時に、記録として残す仕事でもあると再認識。自分もそうして歴史を残す責務を背負っているのだと、背筋が伸びた。

 7イニング制導入の議論が始まるなど大きな転換期にある高校野球を取材する今、私にとってはなおさら大事な気づきだった。100年の伝統を誇る甲子園が今後どう変わるかは分からないが、桜井投手が言うように、必死になること=高校野球と大人が感じるほどの価値が、球児の夢舞台にはある。転換の過程も、しっかりと書き残していきたい。(アマ野球担当・瀬川 楓花)

 ◆瀬川 楓花(せがわ・ふうか)2022年入社。入社以来、関西のアマチュア野球を中心に取材。23、24年はゴルフ担当を兼任。

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