テニス・小田凱人、世界王者１勝飾るもエア・ギターのポーズは封印…全く見知らぬ選手相手に「やりにくかった」

初戦に勝利した小田

◆テニス　▽全豪オープン　第１０日（２１日、オーストラリア・メルボルン）

　【メルボルン２１日＝吉松忠弘】車いすテニスでパリ・パラリンピック男子シングルス金メダルに輝いた世界ランキング１位の小田凱人（１８）＝東海理化＝が初戦に臨み、国際テニス連盟（ＩＴＦ）公認世界王者になって初の一戦を６－０、６ー３で快勝した。同女子２冠の上地結衣（３０）＝三井住友銀行＝は４大大会で自身３度目の完封で完勝発進。一般の女子ダブルスで加藤未唯（３０）＝ザイマックス＝は敗れ、日本勢はシングルスを含め全て敗退した。

　対戦した同３６位のアンダーソン・パーカー（２６）＝オーストラリア＝は全く見知らぬ選手で、実力差がありすぎて、逆に世界王者が戸惑った。小田は「やりにくかった。自分も（気持ちを）上げようとしても上がりにくかった」と手をこまねいた。それでも第１セットは完封。第２セットは１―３から「気合を入れ直した」と５ゲームを連取。わずか５８分で初戦を終えた。昨年９月のパラリンピックから連勝記録を１８に伸ばした。

　前日（２０日）、ＩＴＦが男女各種目の２４年世界王者を認定した。車いすテニスの男子部門で、自身初の公式世界王者を受賞し「本当にうれしかった」。昨年１１月のマスターズ大会で優勝し、年間世界１位を初めて確定させて、選出は確実だった。

　その年の世界最優秀選手とみなされる権威ある賞で、毎年、全仏の開催中に、正装のディナーパーティーで表彰される。一般の男子、ヤニク・シナー（２３）＝イタリア＝、女子のイガ・シフィオンテク（２３）＝ポーランド＝らとともに出席する栄誉だ。

　初戦を圧勝し、公式王者としては物足りないのか、勝利のパフォーマンス、エア・ギターのポーズは封印した。次戦は同１４位・真田卓（３９）＝ＴＯＰＰＡＮ＝と対戦。「ちゃんと納得いく感じで試合をしてから」と“凱人タイム”は取っておく。