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横内謙介氏、37年ぶりに復活する「きらら浮世伝」稽古で「泣くのをこらえるのが必死」勘九郎の姿に勘三郎さんを重ね

スポーツ報知 / 2025年1月22日 20時56分

「きらら浮世伝」の稽古場で取材に応じた(左から)中村七之助、中村勘九郎、脚本・演出の横内謙介氏

 演出家の横内謙介氏が22日、都内で歌舞伎座「猿若祭二月大歌舞伎」(2月2~25日)の昼の部「きらら浮世伝」の取材会に中村勘九郎、中村七之助と出席した。

 現在、放送中のNHK大河ドラマ「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」(日曜・後8時)で注目される江戸のメディア王・蔦屋重三郎を勘九郎が演じる歌舞伎版「べらぼう」だ。1988年に銀座セゾン劇場で18代目中村勘三郎さん(当時は勘九郎)が重三郎を演じて原田大二郎、美保純、六角精児らと共演した伝説の舞台が37年の時を経て、初めて歌舞伎化される。当時、脚本を手掛けた横内氏が今回は脚本、演出を担当する。

 横内氏は37年前を振り返り「勘三郎さんが演出の河合義隆さんに心酔していた。情熱を持って、体当たりの芝居をしていた。カツラが飛んだこともあったけど、それを握りしめて投げたことも。そんな毎日。破天荒だったけど、お客さんは喜んでくれた」。勘三郎さんの熱量はすさまじく、「小劇場やアングラ俳優の方々が『あの人、デタラメだな!』と驚いていた。役者の垣根をぶちこわして、『歌舞伎俳優はここまで芝居ができる』と見せつけていた」と秘話を明かした。

 その後、3代目市川猿之助さんと組んでスーパー歌舞伎を手掛けた横内氏は「僕にとっては通過儀礼だった。再演の話もあったけど、『あれ以上のものはできない』と乗り気がしなかった」。37年を経て、大河ドラマで重三郎が主人公となるタイミングもあり「これは運命だ」と心を決めた。重三郎のキャラクターは「前回は革命家のように描かれていたけど、冷静になって文化人として描きたい」と明かした。

 来月の公演に向けて稽古中で横内氏は「泣くのをこらえるのが必死。勘九郎さんは何でこんなに(勘三郎さんと)せりふ回し、間の取り方が同じなんだろう。あの人がここにいる。つながっているんだな。37年前に書いたせりふだけど、幸せなこと。泣きそうになる」。勘九郎には「『熱演をしてください』とは言っていますけど、それを超える進化をしないといけない。歌舞伎座に対するリスペクトも含めて、丁寧にお客様を楽しませてほしい」と期待を込めた。

 勘九郎演じる重三郎が吉原の大門の上に立ち、叫ぶ場面が見せ場となる。横内氏は「お咎(とが)めを受けて、財産を半分奪われるけど、『持って行くなら全部、持って行け!』と一人よがりの啖呵(たんか)を切る。そこは、やっぱり勘三郎さんが圧倒的にすごかったけど、勘九郎さんも負けていない」。昭和の演劇ファンを熱狂させた青春群像劇が令和の歌舞伎座でよみがえる。

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