イチロー氏、選手がタブレットに没頭する姿に「ファンとしては残念」データ過剰に警鐘
スポーツ報知 / 2025年1月24日 6時10分
日本人初の野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が23日(日本時間24日)、ニューヨーク州クーパーズタウンの米国野球殿堂博物館を訪問。同館2階のシアターで、共に殿堂入りを果たしたサバシア氏、ワグナー氏と共に、胸に「Hall Of Fame」の文字が入ったユニホームに袖を通した。3氏は、歴代殿堂入りのプラーク(銅製胸像盾)が並ぶ「プラーク・ギャラリー」の壁に用意されたプラークの土台にサイン。殿堂入りの式典は、7月27日で当地で開催される。
主な日本メディアとの質疑応答は以下の通り。
―実際に殿堂博物館に足を踏み入れての感想は。
「実際プラークはできていないんですけど、あのメンバーの中に僕のクラープが並ぶんだと思うと、同じ所にいていいのか、という気持ち。これ、拒否はできないですから、そこにいずれ並ぶことになるわけですけど、並んではいるものの、同じ場所にいるものの、到底その先輩方には及ばないという気持ちですね。だから、これはゴールとも捉えられますけど、その先輩たちに近づいていくには、これからも僕の歩み方というかね、その生き方によって、近づいていけると思うので、スタート、ここからがスタートという捉え方もできるんではないかと考えてます」
―博物館で、今より遥かにデータなどが少ない時代の道具に触れて。
「当時の野球を自分なりに想像してみる。で、そういういろんな時代を経て、今があるという気持ちに必ずなる。それがすごく大事だなと思うんですね。今の現役の選手たちっていうのは、とにかくこのタブレット上でいろんなことがわかる。それはすごくいいことでもあるんですけれども、ゲームとして見た時に、ファンの人がね、見ている前でこうタブレットを見てるっていうのはどうなんだろうとも思うわけですね。例えば、じゃあ、その間に味方の選手がデッドボールを当てられて、もし意図的だと判断すれば、ダッグアウトから出ていかなきゃいけない。でも、それ見られないじゃないですか、タブレット見てたら。そういうことを考えてほしいと思いますよね。僕、ファンとしてそれ見てたら、すごく残念な気持ちになると思います。それを見せないでほしい。活用するのはいいんだけれど、第三者に見えるようにしてほしくないなと。そういう思いがあるんですよね。だから、特に今の選手たち、現代の選手たちがここに来て昔の野球に触れるっていうのはすごく大事なことだなんじゃないかと思います」
―野球離れが懸念される。野球をやってみたい人に野球の魅力を伝えるのであれば。
「プロ野球選手になるとなかなかこれは経験ができないことなんですけど、1つの目標に向かってみんなで力を合わせて頑張るというのは、生きていく上ですごく大事なことだと思うんですよね。当たり前ですけど、1人では生きていけないし、生きていたって面白くもない。仲間がいてくれるからがんばれたり、面白かったり、楽しかったりするわけですよね。そういう要素が野球には、まあチームスポーツ、チーム競技ですから確実にあります。ある一定のレベルに達すれば、もちろんその結果を残さなくては生きていけないという厳しさもあるので、それだけではなくなるんですけども。だからこそ、壁が現れた時に、そこに向かっていこうと、それを超えていこうというエネルギーが生まれるんだと思います。これは野球に大きな魅力の1つです」
―プロ野球選手になりたい、大リーガーになりたい子供たちへ
「1歩ずつ進んでほしいです。今はもう確実に、高校生でMLBでプレーすることが夢だっていう選手がいっぱいいます。ある時代からそうなりましたよね、僕らの時代は、まだまだまだ。僕は実際日本でプロ野球選手としてプレーしてても、それは見えてこなかった。なかなかそれは、高校生からMLBに行くんだ、それは大きな夢で素晴らしいことだけど、そこに行くにはコツコツと一歩ずつ進んでいかなくてはいけないということを知っていてほしいですね。大きな成果を上げるには、一気にそこに到達する術はないということは知ってる。地道に1歩ずつ進んでほしい。これが僕からのアドバイス。一言あるとすればそれですね」
―アジア人初の殿堂入り。マイノリティーという立場で、米国の地で、メジャーリーグという舞台で勝負していくタフさを、日々どういう風に感じていらっしゃいましたか
「なかなか表現しづらいことですね。裏で話しましょうか。できれば本音で話したいし、薄い話はしたくない。薄いのが、自分の心からの言葉ならいいんですけど、この質問に関してはそれはできないので。裏で話しましょうか」
―3割バッターが減ってきている。
「3割打者についてですか。今も三振オッケーになっちゃっているので、まずそれはすごく残念ですね。三振ってのは屈辱的な気持ちになるので、なんだっていいからバットに当てればチャンスはあるし、ファウルで逃げるとかね、そういうことができるんですけど、とにかく、少なくとも僕のアプローチと全く違う野球です。今は僕、甘い球なんか待たないんで、追い込まれてから、特に今、もうそこをストライクにとられればもう仕方がない。追い込まれてからもストライクゾーンを狭くして甘いところを待てっていう、もうそのアプローチは。それだったら僕、ここにいないです。どうやって野球がうまくなるか、相手がこう嫌がるのか。いろんなタイプの選手がいて、いろんな役があって、それがこうぶつかり合うから面白いわけですよね。ワンパターン同士がぶつかっても、こう興奮しないっていう。3割の話とは変わるんですけど、やっぱりバットに当てて逃げたり、芯で捉えなくてもヒットにできる技術を持っていたり、そういう選手が少ない。ジーターなんかもう完全にそういうタイプ。嫌な選手って嫌なヒット打つんですよ、相手が、なんでそれがヒットになるんだっていうようなヒットが実は1番ダメージが大きいわけですね。相手にとって失投を捉えられてホームラン。これね、そんなダメージないですよ。相手だってそこ投げなきゃいけないから。きっちり投げてるのにヒットにされるっていうのがピッチャー、キャッチャーは嫌なわけですね。こういう選手が今見てると少ないので、そういう面白みはもっと欲しいなっていう風に思います。3割とか話じゃないんですけど。だからそういう選手は、いやらしい野球選手、これ“野球選手”っていう感じですよね。そういう、いやらしいうまい野球選手が中心になったチームがワールドチャンピオンになれば変わる可能性あると思いますけど、今の流れではなかなか難しいんではないかなという風に思います」
―選ばれた後に、サバシアと交わした会話は?
「久しぶりだったので、最初は当然あいさつですけど。昨日夕食会でCC(サバシア)が僕の前にいたんで、色んな話をしました。今のような話を結構しました。すごく興味深かったです。CCは、今の野球に(対して)同じようなことを考えてられたんです。オールドスクールっていう感じですね。はい、“野球選手”という感じです。(彼の)言葉ってストレートに入ってくる。英語で意味はわかんなくても、この人の言葉ってそのまま取っていいんだっていう人です、CCって。それがすごく興味深いなと思いました。これ、こっちが求めてることを言おうとしてるよなとか、それ、わかっちゃうんだよね。不思議ですよね。意味がわからなくてもそれは伝わるっていうのは、なかなか興味深いですね」
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