殿堂入りのイチロー氏「僕のアプローチと全く違う野球」データ重視のメジャーに危機感 警鐘鳴らす
スポーツ報知 / 2025年1月24日 6時21分
日本人初の野球殿堂入りを果たしたイチロー氏(マリナーズ会長付特別補佐兼インストラクター)が23日(日本時間24日)、ニューヨーク州クーパーズタウンの米国野球殿堂博物館を訪れ、共に殿堂入りを果たしたサバシア氏、ワグナー氏と共に、胸に「Hall Of Fame」の文字が入ったユニホームに袖を通した。3氏は、歴代殿堂入りのプラーク(銅製胸像盾)が並ぶ「プラーク・ギャラリー」の壁に用意されたプラークの土台にサイン。メディア対応では、データ重視傾向が強まる昨今の野球に警鐘を鳴らすなど、野球への思いを話した。殿堂入りの式典は、7月27日で当地で開催される。
2001年のオフに初めて当地を訪れたイチロー氏は、今回で8度目の来館。同館関係者によると、現役中に7度、当地を訪れた選手は例がない。過去の記録と向き合う中で、当時の道具をみたいという欲求が当初の動機だったという。それだけ、野球の歴史をリスペクトし、野球の“手触り”を大切にプレーしてきた。
「当時の野球を自分なりに想像し、そういう色んな時代を経て今があるという気持ちに必ずなる。それがすごく大事だなと思うんです。ここに来て昔の野球に触れることはすごく大事なことだと思います」
ハイテクを駆使する現代野球は、データ重視となり、本塁打か三振か、という打撃が増えている。「今もう、三振オッケーになっちゃっている。それはすごく残念ですね。何だっていいからバットに当てればチャンスはある。ファウルで逃げるとか、そういうことができる。少なくとも僕のアプローチと全く違う野球です」。
天性のバットコントロールと俊足を駆使した打撃で安打を重ねたイチロー氏。「僕は甘い球なんか待たないんで。今は、追い込まれてから、ストライクゾーンを狭くして、甘いところを待ってというアプローチ。それだったら、僕、ここにいないです」と言った。
ベンチでタブレットに没頭する選手の姿も「僕がファンとしてそれをみたら、残念になる」。イチロー氏のプロ意識にはそぐわない風景にみえる。味方打者が故意死球を当てられたのか、どうか。フィールドに注意を注いでいなければ、分からない。申告敬遠についても「ネクストバッターの選手がドキドキしたり、ざわざわと球場の雰囲気が変わるという感情がなくなる」。古き良き時代から、脈々と続く野球の歴史が留まる聖地で、合理化が進むルール変更にも、警鐘を鳴らした。
この日の当地は雪景色が広がり、最低気温マイナス10度と冷え込んだ。記念式典は7月27日。自身9度目の来館となる真夏の聖地は、青空が広がり、色とりどりの花が咲き乱れることだろう。
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