中居氏問題で揺れるフジ、２７日臨時取締役会で港社長の進退議論へ “やり直し会見”には相談役・日枝氏出席せず

フジテレビ

　フジテレビが２７日に臨時取締役会を開くことが２４日、分かった。芸能界引退を２３日に発表した中居正広氏（５２）と女性とのトラブルに端を発する一連の問題に関し、港浩一社長（７２）の進退を含めて経営責任を議論する見通し。取締役会後の午後４時に東京・台場の同局で記者会見を開くことも発表。１７日に行われ、批判が噴出した会見の“やり直し”となる。親会社のフジ・メディア・ホールディングス（ＨＤ）も含めた経営陣トップが出席するが、フジサンケイグループ代表でフジテレビ取締役相談役の日枝久氏（８７）の名前はなかった。

　前代未聞の“やり直し会見”直前に、港社長の退任が決まる可能性が浮上した。フジテレビが２７日午後４時の会見前に臨時取締役会を開くことが判明。その席で、１７日の会見で不透明な返答に終始し、スポンサー離れを招く一因となった港社長ら経営陣の進退などが議論される見通しだ。

　この日、フジテレビは会見の詳細も発表した。ラジオ・テレビ記者会にのみ出席を限定した今月１７日の会見とは異なり、媒体に制限はかけないオープンな形。プライバシー保護のため、生中継・生配信はできないが、１０分ディレイ（遅れ）での放送・配信は許される。２３日の臨時取締役会で承認された第三者委員会設置などを報告するとみられるが、出席者からは経営責任を含め厳しい質問が相次ぎそうだ。

　出席者は港社長のほか、フジ・メディアＨＤおよびフジテレビの嘉納修治会長、フジテレビの遠藤龍之介副会長、フジ・メディアＨＤの金光修社長の４人。ただ、２３日の社員説明会で、複数の社員から名指しで“退陣”を迫られ、労働組合も会見への出席を求めていた日枝氏の名前はなかった。

　今回の騒動が露見し、フジテレビのガバナンス（企業統治）に厳しい目が集まっている今、絶対的なキーマンが日枝氏とされる。創業間もない１９６１年にフジテレビに入社し、草創期の同局を支えた。１９８８年にフジサンケイグループ議長（当時）の鹿内春雄氏が急逝。同年フジテレビ社長に就任した日枝氏は、９２年に春雄氏の後を継いだ親族の鹿内宏明氏の解任を求める動議を起こし、鹿内一族のグループ支配からの脱却を図った。

　この“クーデター”以降、日枝氏がグループ内で発言権を増すようになった。現在は政財界にも強い影響力を持つといわれている。２００５年には、堀江貴文氏が社長を務めるライブドアが、フジのグループ会社・ニッポン放送の最大株主に名乗り出る買収騒動が勃発。これに対抗したのが日枝氏で、ライブドアの所有するニッポン放送株式すべてをフジテレビが取得したことでライブドアの買収は幻となった。

　堀江氏は前回の会見直後、フジメディアＨＤの株を購入。自身のＹｏｕＴｕｂｅチャンネルで、日枝氏がなお実権を握っていることを「院政」と表現。「日枝さんが出てこないとフジテレビの問題は解決しない」などと痛烈に批判している。

　やり直し会見では、日枝氏についても厳しい質問が飛ぶことは避けられない。フジテレビにとって正念場となりそうだ。