【小倉牝馬S】新重賞で珍事 史上初同着で初代女王誕生 丹内&杉原騎手「やったぜ~」伝説作った
スポーツ報知 / 2025年1月26日 6時0分
◆第1回小倉牝馬ステークス・G3(1月25日、小倉競馬場・芝2000メートル、良)
今年の小倉競馬が25日開幕。メインで行われた第1回小倉牝馬S・G3は、フェアエールング(丹内)とシンティレーション(杉原)が譲らぬ激戦の末、1着同着となった。重賞では12度目のレアケースで、初代女王に輝いた2頭の手綱を執った丹内、杉原の両騎手は「やったぜ~」と声をそろえて喜びを爆発させた。
一瞬、時が止まったように2頭の馬体が重なり合った。ラスト100メートル。内に進路を取り、馬群を縫うように伸びてきた杉原のシンティレーションを目がけ、外から水色のメンコ(覆面)を着けた芦毛馬が襲いかかった。丹内のフェアエールングだ。杉原が末脚を絞り出すように手綱を押せば、丹内が闘争心を呼び起こすように右ステッキを振り下ろす。ゴール直後。スローVTRでも“答え”が分からない状況に、場内はどよめきに包まれた。
結果は同着。重賞での同着Vは史上12度目で、小倉では初めてのことだ。口取り写真撮影、表彰式は別々で行ったが、場内への勝利騎手インタビューは2人の騎手が並んだ。ともに「なかなか経験できないこと」と喜びを表現したが、ゴール板を過ぎた直後の心境は正反対。「正直、勝ったと思っていました」と丹内が振り返れば、杉原は「僕は完全に負けたと思っていました」と吐露した。
今年から創設された新設重賞。第1回で2頭の勝ち馬が誕生するのは日本の競馬史上初めてになる。しかも、シンティ(6歳)、フェア(5歳)とキャリアを積み重ね、試行錯誤の時期も経験したなかでつかんだ重賞初タイトル。最後に肩を組んだ2人の騎手が「やったぜ~」と叫ぶと、場内は温かい拍手に包まれた。新たな歴史を刻んだ記録と記憶に残る勝利。開幕した冬の小倉に、さわやかな風が吹き抜けた。(山本 武志)
◆フェアエールング 父ゴールドシップ、母マイネポリーヌ(父スペシャルウィーク)。美浦・和田正一郎厩舎所属の牝5歳。北海道新冠町・ビッグレッドファームの生産。通算成績は17戦5勝。重賞初制覇。総獲得賞金は1億10万8500円。馬主は(株)サラブレッドクラブ・ラフィアン。
◆シンティレーション 父ロードカナロア、母ファシネートダイア(父アグネスタキオン)。美浦・池上昌和厩舎所属の牝6歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は16戦5勝。重賞初制覇。総獲得賞金は1億3312万5500円。馬主は(有)シルクレーシング。
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