テレ朝・松岡朱里アナ 挫折、歓喜、やりがいと喜怒哀楽に満ちたルーキーイヤーを振り返る…「モーニングショー」４代目アシスタントに抜てき

笑顔がチャーミングなテレビ朝日・松岡朱里アナ（カメラ・竹松　明季）

　テレビ朝日の松岡朱里（じゅり）アナウンサーが、一生に一度のルーキーイヤーを駆けている。同局系「羽鳥慎一モーニングショー」（月～金曜・前８時）の４代目アシスタントに抜てきされ、入社式直前の４月１日に生放送デビュー。華やかなスタートからの挫折、歓喜、やりがいと、喜怒哀楽に満ちた１年を振り返った。（田中　雄己）

　新入社員とは思えぬほど、堂々とした松岡アナの姿勢は、この１年で経験した重さを感じさせる。こちらが座るのを見計らって着席し、背筋と声色を正し、ルーキーイヤーを振り返った。

　「印象的だと感じたのは、プロデューサーの方々や、羽鳥（慎一）さんの情報の伝え方や、打ち合わせでの質問攻めです。入社からまだ１年たっていませんけど、テレビに対する責任感も感じてきましたし、全く意識が足りていなかったと思い知らされています」

　目をそらさず、ハッキリとした受け答え。学生気分が抜けず、満足に敬語も使えない。給与をもらうという意識も希薄。記憶のかなたにある記者の入社時と重ね合わせると、まさに天と地だった。

　「羽鳥さんはＶＴＲを見て浮かんだ疑問も、すぐにぶつけていて。そういう姿を見て勉強させられますし、自分の視点は狭いなと感じます」

　実感したのは「準備の大切さ」だという。

　「内定時代から先輩にいろいろな現場に連れていってもらい、仕事へのギャップは感じませんでしたが、番組に携わる上での準備が本当に重要で。ある先輩からは『アナウンサーって準備が仕事の９割なんだよ』と教えてくださって。準備していたのに発言しなかったということはあるんですけど、準備した情報が多いほど、胸を張ってオンエアに臨めますよね」

　朗らかな笑顔を浮かべ、机に置いたパソコンにチラッと視線を移す。「質問に対しての答えを用意していて」。ここでも準備万全。「でも…」。そう言うと、味わった挫折を回想した。

　「もう忘れもしない。日付も鮮明に覚えていて、４月１０日です。内定者研修でもなかったくらいに、原稿読みを失敗してしまって」

　当時の情景を思い出したのか、悔しさと悲しさも織り交ぜた、何とも言えない表情になった。「プロデューサーが走ってきて『何があったの？』と言われて。自分ではちゃんと伝えたいと思っているんですけど、今日は読めなかったなって。その日は一日中、泣いていました。先輩に話して、怒られ、反省して。でも次の日も、その次の日も、オンエアがあったので、ウジウジもしていられない。伝えることの大切さ、責任を痛感した日でしたね」

　午前４時に起床し、午後８時に就寝する日々。空き時間には家でも原稿読みを重ねる。２０代前半。遊びたい時もあるだろうが、一番うれしい瞬間は「ニュース読みがうまくなったと言われること」と明かした。

　「毎日練習していて、良かったなと思います。読むことではなくて、いかに伝えるかを意識しています」

　高校時代に訪れたフィリピンで小さな子供を抱えた母親から食べ物を求められ、「助けを求めている人に手を差し伸べたい」と感じたことが人生の契機だ。大学時代、開発学やジェンダーを学び、より思いを強くした。

　「一人でも多くの方の役に立ちたい。そして、言葉で誰かを救うことができれば」

　今、夢をかなえたが、その志は変わらない。憧れの女性はフリーアナウンサーの有働由美子。「自ら紛争地や発展途上国に足を踏み入れて、そこで感じたことを伝えたい。私もそうなりたいと思います」。夢と志を乗せ、日々言葉を紡いでいく。

　◆松岡アナのイチオシ

　今ハマっているモノは、２つあるんですけど。いや、「モノ」じゃないかな。まず１つ目は、めいっ子にハマっていて。姉の子供なんですけど、１歳２か月で。これが、本当にかわいくて。ついつい洋服とか貢いじゃいますよね（笑）。

　車で１時間半の距離にいるので、なかなか会えないんですけど。番組が始まる時に、テレビ画面を指さして「じゅっちゃん」って言うんです。それが、もう本当に…。動画を毎日送ってもらって。彼女にも伝わるような言葉を発したいと思っています。

　もうひとつはですね、「〇〇パーティー」にハマっていまして。休日に家でゆっくり休みたい、でも、何かしたいという時に、私が好きな食べることと、お酒を掛け合わせたような企画で。串カツ、たこ焼き、クレープ、サムギョプサル、手巻き寿司、お好み焼き…いろいろなパーティーを開いてきました。最近はワインも飲めるようになったので、楽しいですね。大人数が得意ではないので、２、３人でしんみりとですけど（笑）。（談）

　◆松岡　朱里（まつおか・じゅり）

　▼生まれと経歴　北海道出身。２４年３月に国際基督教大教養学部を卒業。同年４月に入社

　▼趣味　自然を求めて中距離ドライブ

　▼特技　料理、ダンス（「ソウルパンキング」というジャンルのストリートダンスを１３年間習う）

　▼ストレス発散　家で誰にも見られない中で踊ったりしています。料理作りながら踊ったり（笑）