「気魄一閃」横綱昇進の豊昇龍、あえて大関昇進時と同じ口上にした理由 叔父・朝青龍も2度同じ言葉だった
スポーツ報知 / 2025年1月30日 5時0分
日本相撲協会は29日、大相撲春場所(3月9日初日・エディオンアリーナ大阪)の番付編成会議と臨時理事会を開き、初場所で優勝した豊昇龍(25)=立浪=の第74代横綱昇進を満場一致で決めた。東京・台東区で行われた伝達式で「横綱の名を汚さぬよう気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進いたします」と口上を述べた。「気魄一閃」は23年名古屋場所後の大関昇進時と同じ。横綱として2ケタ優勝を目標に掲げ、春場所では史上10人目の新横綱Vに挑む。
満面の笑みで、豊昇龍が新横綱の喜びをかみしめた。午前9時34分。協会から派遣された境川理事(元小結・両国)と大鳴戸審判委員(元大関・出島)が立浪部屋に到着。満場一致での推挙が伝えられると「謹んでお受けいたします。横綱の名を汚さぬよう気魄一閃(きはくいっせん)の精神で精進します。本日は誠にありがとうございました」と一語一語を大切に、ゆっくりと口上を述べた。大役を終えると、「横綱は入門してからの夢だった。いうことがないくらいうれしい」と、また笑顔がはじけた。
23年の大関昇進時と同じ「気魄一閃」をあえて使った。「自分に何があっても、何が起きても、力強く立ち向かっていきたい」との思いを込めた。他にも候補はあったが「大関の時から『気魄一閃』という言葉で頑張ってきた。これからも使おうと思った」。偶然にも叔父の元横綱・朝青龍も大関昇進から「一生懸命」の四文字を2度使った。
叔父は幾度となく最高位としての品格を問題視された。横綱審議委員会の内規に「横綱に推薦する力士は品格、力量が抜群であること」と定められている。この日、その品格をどう捉えているか報道陣から質問された。「そもそも品格という言葉(日本語)がちょっと分からない。どういう意味ですか?」と逆質問。横綱に求められる人間性だと受け止めると、「人間として、やるべきことをしっかり考えてやっていかなければならない」と約束。師匠の立浪親方(元小結・旭豊)も「叔父さんと(表情が)似てるから周りはいろいろ言うが、素直でいい人間」と太鼓判を押した。
常に結果が求められる看板力士として、その責任感から言葉が熱を帯びた。「横綱として2ケタ優勝したい」と宣言。春場所で新横綱Vを果たせば17年春の稀勢の里、21年秋の照ノ富士に続いて3代連続、史上10人目となる。「てっぺんに来て、もっと上のてっぺんを目指す」。まずは大阪で自身3度目の賜杯に照準を合わせる。第74代横綱が、新たな一歩を踏みしめた。(山田 豊)
◆豊昇龍の主な予定
▽30日 綱打ちと、出羽海一門の先輩である武蔵川親方(元横綱・武蔵丸)による土俵入りの指導。
▽31日 明治神宮で奉納土俵入り。
▽2月1日 元幕内・徳勝龍の断髪式で、国技館で初となる横綱土俵入り。
▽同4日 立浪部屋で稽古再開。
◆豊昇龍の横綱昇進アラカルト
▽叔父との比較 豊昇龍は25歳8か月、朝青龍は22歳4か月で横綱昇進。豊昇龍は初土俵から所要42場所で、朝青龍より17場所遅い。
▽横綱の誕生 2021年名古屋場所後の照ノ富士以来。令和に入って2人目。
▽スピード昇進 初土俵から所要42場所は年6場所制となった1958年以降初土俵で6番目の速さ。
▽モンゴル出身 21年名古屋場所後の照ノ富士以来で6人目。外国出身では米ハワイの曙と武蔵丸を含めて8人目となり、都道府県別で最多の北海道に並ぶ。
▽立浪部屋 双葉山、羽黒山、双羽黒に続いて4人目。
▽出羽海一門 1999年夏場所後の武蔵丸以来、26年ぶり。
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