南座「三月花形歌舞伎」会見 中村壱太郎「今年のテーマは恋に狂い、恋に戸惑い、恋に踊る」

三月花形歌舞伎に出演する（左から）中村虎之介、中村米吉、中村壱太郎、中村福之助

　歌舞伎俳優の中村壱太郎、中村米吉、中村福之助、中村虎之介が、都内で京都・南座の松竹創業百三十周年「三月花形歌舞伎」（３月２日～２３日）に向けた会見を行い、意気込みを語った。

　今年５年目となる平成世代の歌舞伎。今年は、「妹背山婦女庭訓」より「三笠山御殿」を松プロで、「伊勢音頭恋寝刃」より「油屋店先」「同奥庭」を桜プロで上演。壱太郎が５役を演じる「『於染久松色讀販』お染の五役」がいずれの部でも上演される。

　会見の途中、「ちょっと、一つ…」と突如立ち上がった壱太郎は、隣に座る米吉の「ちょっともう、座って」という制止も無視し、「今年は恋に狂い、恋に戸惑い、恋に踊るということで、恋がテーマになっております！…一応それはお伝えしておきます」と本公演のテーマを堂々発表。

　米吉から「それは公式見解ですか？」と聞かれると、「公式見解です！」と言い切った。

　５年目の同公演。壱太郎は「５年目というのを節目とはせず、通過点として、またいい公演になるよう５年というのを意識してやっていきたいと思っております」と決意。今回の公演出演者は福之助と虎之介がともに２７歳の同学年。壱太郎は３４歳、米吉は３１歳となった。米吉は「最初の年に壱太郎兄さんが盛んに、アンダー３０、アンダー３０とアンダー３０歳の公演ということを言っておりましたところ、私の方ももう３０歳を超えてしまいまして、アンダー３０ではなくなりましたが、気持ちはそれぐらい若いということで…」と年齢に触れ、「今回は年かさ２人が女形ということでございますので、若いお２人を盛り立てながら一生懸命やっていきたいと思います」と意気込んだ。

　福之助は「今回、（兄の）橋之助が出てなくて、橋之助に報告する時にちょっと気まずいなって思ったのですが、とっても喜んでくれて『良かったね』と言ってくれた」と兄とのエピソードを明かし、「僕もいつかはこのチラシに顔と名前が載る役者になりたいっていうのは、もう常に思ってましたし、この３月花形歌舞伎に呼んでいただいたっていうのはとても嬉しいです。僕は花形歌舞伎は勉強の場じゃないと思っているので、ちゃんと出来を意識して、しっかりと今の力を皆様にお見せできるように頑張りたい」と気合いを込めた。

　初出演となる虎之助は「いつも客席から見ていたので、僕もいつか一緒に出たいなと思っていて、それが今回このような形でかなってすごく嬉しいです。むね（福之助）とは同級生ですけど、僕たちにバトンが回ってきて、責任公演だと思っておりますし、今回、全演目出さしていただいてるので、頑張って勤めさせていただきます」と語った。

　今回は４人それぞれにテーマカラーも。壱太郎が赤、米吉が黄、福之助が緑、虎之介が青となった。会見の日もテーマカラーを取り入れた衣装で現れた４人。「皆様に（４人を）覚えていただき、親しみを持ってもらいたい」と話した赤いセーターの壱太郎を中心に平成世代が舞台で躍動する。（瀬戸　花音）