米ビッククラブからもオファーも 日本代表入り目指す次世代ＳＢ小杉啓太…単独インタビュー（下）

スウェーデンで活躍するユールゴーデンのU―１９日本代表DF小杉啓太（所属事務所提供）

　Ｊリーグを経由せずに欧州へと飛び込み、今や日本人で最も価値の高い１０代として、世界のサッカーシーンで注目を集める存在となった選手がいる。Ｕ―１９日本代表のＤＦ小杉啓太（１８）だ。スウェーデン１部ユールゴーデンに所属する左サイドバック（ＳＢ）は、プロ１年目のスタートを切った昨季、公式戦２４試合で２得点２アシストをマーク。今オフには、欧州ビッグクラブからも関心を寄せられる存在となった。Ｊリーグと同じく春秋制で行われているスウェーデン１部リーグ開幕、そして欧州カンファレンスリーグに向けて準備を進める次世代の左ＳＢに話を聞いた。（取材・構成＝金川　誉）

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　公式戦２４試合に出場し、２得点２アシスト。これがプロ１年目の昨季、小杉がユールゴーデンで残した結果だ。欧州カンファレンスリーグ１次リーグでの５試合も含まれており、パナシナイコスなど国外のビッグクラブとの対戦も経験した。１８歳のＳＢがこれだけの数字を残せば、世界各国のクラブが注目する。今オフにもドイツやオランダの有力クラブからのオファーや、米ＭＬＳのビッグクラブからの超大型オファーもあった。しかしユールゴーデンへの残留を決意し、新シーズンへと向かおうとしている。

　「自分が去年（試合に）出られたのは、半年ないぐらい（の期間）。今年の３月に（欧州）カンファレンスリーグもあって、ベスト１６からの大きな舞台もある。去年はシーズン４位で終わりましたけど、３月にはスウェーデンのリーグも始まり、初戦は（昨季王者の）マルメ戦。去年優勝したチームなので、勝ちたい気持ちがあります。緊張感のある試合がずっと続く中で、もっと成長できると思いますし、このチームで（自分が）ナンバーワンかと言われたらまだまだ。今シーズンは、結果がもっとついてくるように努力してやっていきたい」

　将来的には「チャンピオンズリーグ優勝と、日本代表の中心選手になって活躍したい思いはあります」と語る小杉。中学時代まではＦＷだったが、試合に出られていなかった時期にＳＢに負傷者が出たことをきっかけに転向してわずか５年あまり。かつてより数々のタスクが求められるようになったＳＢのポジションで、まだ学ぶことが多いことは理解している。

　「（コンバート当時は）プレースタイル的にも近かったのは長友（佑都）選手かなと思って見てました。内田（篤人）選手も好きでした」と語る。両者に共通するのは、攻撃面での特徴も持ちながら、ＳＢとして守備を高いレベルでこなし、世界で活躍した点だ。現在の小杉も、攻守両面を高めながら、理想のＳＢ像へと近づこうとしている。

　「守備は自分の特徴でもあると思っています。攻撃参加は、アタッキングサードに入った時のクロスの質はまだ良くないですし、シュートに絡めるシーンも増やせると思う。ただ、左ＳＢだけじゃなくて複数ポジションできるように、自分はもっと足元だったり視野だったり、いろんな質を高めていかないと。自分にできるプレースタイルを確立しながら、やれと言われたら他のポジションもできるような選手に、ゆくゆくはなっていきたい」

　そして近い将来、目指すべきは日本代表だ。現在の森保ジャパンでは、左ＳＢでは３８歳ＤＦ長友佑都が史上初の５大会連続Ｗ杯出場を目指している。しかし日本がさらに成長していくためには、小杉ら若手の台頭も必須となってくる。

　「自分が１番最初にそこ（日本代表）に食い込んでいきたいと思っていますし、カンファレンスリーグなど大きい大会で結果をしっかり残せば、そういうチャンスも巡ってくる可能性はあると思っています。でも口だけで目指すと言っても、行動が伴ってないと、選ばれないと思っているので。日々の努力を大切にしていきたい」

　ピッチで活躍するための努力はもちろんながら、語学も含め欧州で活躍するために日々、積み重ねている。ユース時代から将来の欧州移籍に向け、英語習得は続けてきたが、取材時に映し出された自室には、英語のメモが至る所に貼り付けられていた。若い野心と向上心、そして自らの足元を見つめる冷静さも持った１８歳。スウェーデンの地でさらに自身を磨き、大きな夢へ向かって一歩ずつ進んでいく。（終わり）

　◆小杉　啓太（こすぎ・けいた）２００６年３月１８日、神奈川県鎌倉市生まれ。１８歳。西鎌倉ＳＣを経て湘南のジュニアユース、ユースに在籍。２４年３月にスウェーデン１部ユールゴーデンへ加入。１７２センチ６９キロ、利き足は左。