「いい一日になった」巨人・田中将大、キャンプ初日から体重移動や体の使い方「魔改造」受ける「本当に幸せなこと」

キャンプ初日、背番号１１を披露した田中将大（カメラ・小林　泰斗）

　プロ野球は１日、全１２球団がキャンプインした。巨人の宮崎キャンプでは、前楽天の田中将大投手（３６）が新天地で再出発。初日からいきなり久保康生巡回投手コーチ（６６）による１時間超のマンツーマン指導を受け「本当に幸せ」と周囲への感謝、野球愛を改めて口にした。日米通算２００勝までは残り３。背番号１１の真新しいユニホームに袖を通したベテランが、復活への第一歩を踏み出した。公式戦はセ、パ両リーグとも３月２８日に開幕する。

　時間を忘れるほど夢中になった。肌で感じる変化を、マー君が心から楽しんだ。巨人のユニホームを着て迎える初めての球春。キャンプ初日の締めは、久保コーチによる１時間超の熱血マンツーマン指導だった。

　「疲れました！（笑）。でも、言っていただけるのは本当に幸せなこと。ありがたいです。いい一日になった」

　小雨が降る午前９時３５分。新たな仲間たちとともに笑顔で木の花ドームへ。ジャージー姿だった自主トレから一転「ユニホームを着ると感じ方はやはり違う」と伝統の重みに身を引き締めた。そして初日から「魔改造」が始まった。日米１９７勝右腕に密着マークしたのは、昨年菅野を１５勝＆ＭＶＰという完全復活に導いた久保コーチだ。まずはキャッチボール中とノック後に計２０分、身ぶり手ぶりでフォームの助言をもらうと、正午過ぎから２人きりでブルペンへ。そこからの６０分間は田中将も「そんなに（長く）やってました？」と時を忘れるほど濃密だった。

　前日の１月３１日。的確な指導力で「魔改造」の異名を取る名伯楽と、過去の映像を見て意見交換した。昨季０勝からの巻き返しへ、オフもテーマを持って取り組んできたが「それじゃダメなんだと思った。体重移動や体の使い方、もう全て。自分の感覚とは大きく違う」。コーチと二人三脚で変貌（へんぼう）を遂げると決意して球場入りしていた。

　ブルペンではマウンドの傾斜を逆向きに利用した練習法から、通常の傾斜、平地と３パターンでネットへ計１２０球。「逆傾斜をあれだけの数やることはなかった」と大粒の汗を流しながら、軸足から左足への体重移動、体を縦回転で使う意識などを体にすり込んだ。「昔は自然とできていた部分が少しずつ崩れていって、今大きな崩れになっている。ガラッと変えようとしているので（今は）大きな違いを感じるけど（練習）最後は理想とするところになってきた。できるだけ早く、何とかモノにしたい」。撮影した動画を見返しながら、助言に何度もうなずいた。

　２度の沢村賞やヤンキースでの７８勝、圧倒的なキャリアを持ちながら「（練習の）数をこなして（理想の投げ方を）自動化させられるのが一番」と原点に立ち返って再出発した。苦しい練習中でも笑顔は絶やさなかった背番号１１。「そりゃ楽しくやりますよ。つまらなくやってもしょうがないじゃないですか。自分の好きな野球なわけですから」。その目には、復活に向けた確かな手応えがにじんでいた。（堀内　啓太）

　【マー君の一日】　　　　　　　

　▼９時３５分　チームバスに乗って木の花ドーム入り。

　▼１０時　屋内で全体アップスタート。ウィーラー巡回打撃コーチらと会話。

　▼同２３分　背番号１１のユニホームをファンに初披露。キャッチボール開始。

　▼同３６分　キャッチボール中に久保巡回投手コーチから身ぶり手ぶりでフォーム指導。

　▼同４０分　久保コーチの打つノックをマルティネス、ケラー、バルドナードと同組で受ける。

　▼同４７分　久保コーチから２０分間、ブルペンの裏でフォーム指導。同コーチがキャッチボール中に撮影した動画を２人で確認し、シャドーピッチングを繰り返す。

　▼１１時８分　高橋由伸氏と握手して会話。

　▼同１５分　ウェアに着替えてランニング。

　▼同３５分　再び由伸氏と談笑してからコンディショニング。

　▼同５０分　体幹トレーニング。

　▼１２時１０分　ブルペンに登場しユニホーム姿で１時間以上、久保コーチとマンツーマンレッスン。終了後、猛練習に思わず苦笑い。

　▼１３時２６分　１０分間の囲み取材。

　▼１４時３０分　戸郷、ケラーと同じ車に乗って球場を出る。