なでしこジャパンのニールセン新監督 選手に「No fear」を 「小さい力士でもいかに主導権を握って戦うか」…インタビュー
スポーツ報知 / 2025年2月4日 4時0分
昨年12月になでしこジャパンの新監督に就任したニルス・ニールセン新監督(53)がこのほど報道各社の合同インタビューに応じた。23年W杯と昨年のパリ五輪で共に8強で終わったなでしこ。米国で行われるシービリーブス杯(現地時間20日開幕)で新体制での初陣を迎える。11年のドイツW杯以来の世界一奪取へ向け、初の外国出身監督となった指揮官はインタビューで、自身が求める選手像と価値観などを明かした。そしてタイトル獲得時にはあるユニークな公約も掲げた。(取材・構成=浅岡諒祐)
年明けから高校女子サッカー選手権や皇后杯などを現地で視察したニールセン監督。青く澄んだ目を輝かせると、まずは日本のなでしこらを称賛した。
「非常に潜在能力の高い選手がたくさんいました。マンチェスターCで仕事をしているときから、非常に技術があって、才能豊かで、戦術的にも優れた、そういったギフトを持っている選手が多いなと思っていました。これはユースやアカデミーのシステムを作った今までの長年の努力やハードワークがあってこそ。そういった素晴らしいシステムを作り上げた日本サッカーのアカデミー世代を非常に尊敬しています」
新生なでしこジャパンは選手の“個性”を重視する。
「自分の強さを表現している選手を選んでいきたい。何か特別なものを持っている選手を選ぶようにしたいので、その選手が何ができないというのは気にしません。例えば空中戦のセットプレーで非常に強いとか、1対1のディフェンスで負けないとか、そういった何かしらの特徴や特別なものを持っている選手をチームに加えたいと考えています。メッシの例を挙げると、メッシが世界最高のDFだとは誰も思わないが、アルゼンチンはメッシを一人前線に置くかわりに誰かボールを回収できる選手を必ず入れている。素晴らしい技術を持った選手を11人集め、それをお互いにうまく互換できるようなチームを作っていきたい」
就任時の会見でも言及した“人間性”も選考において重要な要素の一つ。重圧に耐え抜く精神力を測るため、独特な課題を選手に提示したこともある。
「グループの前で歌やダンスといったパフォーマンスをしてもらったことはあります。普段そういうのに慣れていないと、選手によってはプレッシャーを感じたりする。ただ、フットボールもパフォーマンス。外側からのプレッシャーであれば対処の仕方は学んでいけるが、内側からだと自分で対処していくしかない。そういったプレッシャーに対処できているかというのを見たりしています」
勇気を持って、前線から主導権を握るサッカーを掲げる指揮官にとって、精神力の強さは必要不可欠なものだ。
「プレッシャーの中で楽しんでプレーできる選手を見つけていきたい。簡単な例を示すと、W杯決勝のPKの時に『この中で蹴りたい選手はいますか』とチームに問いかけた時、5人の手ではなく11人全員の手が上がるような、そういったメンタリティを持ったチームを作りたい。No fear。恐れないで、どんなことにもチャレンジしていくような雰囲気を作っていきたい」
米国やスペインなど、世界トップレベルのチームはフィジカルやプレーの強度で日本を上回る。身体的に劣りながらも、いかに主導権を握れるか。指揮官は日本の伝統スポーツを例に、その姿をイメージした。
「日本に来る前から日本の色々なことが好きで興味を持っていた。その中で、過去にユーロスポーツ(欧州のスポーツ専門放送局)で見た大相撲の例を出したい。力士によってはそんなに巨大なわけでも無いのに、大きな力士のことをなぎ倒したりと、本当に賢くして。それが非常に印象に残りました。必ずしも相撲は大きい力士が勝つわけでは無いと思うので、小さい力士でもいかに主導権を握って戦うかによって大きな選手のバランスを崩して先に土俵に倒せる。いかに日本の小さくて速くというのを生かせるかは考えています」
デンマーク出身の指揮官の耳にはピアスが光る。過去の監督には見られなかったそのオシャレな装いは、自身の過去が原点である。
「音楽が好きで、特にロックミュージックが好き。昔は私もやっていましたし、ロングヘアーだった時もあります。今ではちょっと恥ずかしくて見せられないけど(笑)。サッカー選手で音楽、美術、文学について話し合う方はいないが、音楽ではそういった話題が非常に出てきた。そういった違う分野も頭に入っているよって、少しコントラスト出来るように着けています」
ジョークや例えを交えながら明るく話す指揮官は、自身のルーツからあるユニークな公約も掲げた。
「一つだけ皆さんにお約束します。何か主要な大会でトロフィーを取るようなことがあれば何か音楽を披露します。まずは主要な大会でトロフィーを掲げることが第一ですが」
27年ブラジルW杯、そして28年ロサンゼルス五輪での世界一へ向けて、まずは初陣を白星で飾る。
◆ニルス・ニールセン(Nils Nielsen) 1971年11月3日、デンマーク自治領グリーンランド出身。53歳。背中の負傷により20歳で選手を断念し、93年から2012年まで母国クラブやデンマーク代表の育成年代監督を歴任。13年から同国女子代表の監督を務め、17年に欧州選手権で準優勝。18~22年まではスイス女子代表の監督。23~24年までは、マンチェスターCの女子テクニカルダイレクターを務めた。
◆シービリーブス杯日程
▼2月20日16時(日本時間21日7時)・オーストラリア戦
▼2月23日12時(日本時間24日7時)・コロンビア戦
▼2月26日19時30分(日本時間27日12時30分)・アメリカ戦
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