記者としての未熟さ痛感した「悪役商会」八名信夫へのインタビュー
スポーツ報知 / 2025年2月9日 16時0分
◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
記者は「名刺一枚で誰にでも話を聞ける仕事」と言われる。インタビューはそのだいご味を感じるが、「緊張しい」なので苦手意識もある。聞くことも書くことも上達したくて、この1年は40人の俳優らを取材した。
印象深いのは昨夏に取材した俳優・八名信夫さん(89)。6年の記者生活で最年長の取材対象で、長身にボルサリーノ帽子の迫力にど緊張した。プロ野球選手から名悪役に転身した経歴、青汁CMの「まずい、もう一杯!」の決めぜりふは「飲んだらまずくて驚いてね。正直な感想だけじゃ悪いから、『もう一杯!』ってせりふを思いついたんだ」と裏話を話してくれた。
取材中、悪い癖が出てしまった。体験した戦争の恐ろしさを語っていた時、こちらの相づちが「はい」と単調になってしまった。その場の一対一の会話より、次に聞くことや取材の残り時間に意識が傾いていたからだ。「ほんとよ、戦争は怖いんだ」と八名さんが語気を強めたように感じて、はっとした。サングラス越しに目が鋭く光っていた。
真剣に語り掛けてくれたのは、争いを繰り返す世界情勢の中で、目の前の20代の若者が主体的に問題を捉えていないこと、どこか生きること自体に薄ぼんやりしていると感じたからだろう。記者として対象の人柄に迫るつもりが、よっぽど八名さんの方が目の前の人間の本質を見つめていた。
取材は聞く、書くことの上達といった自己満足のために数をこなすものではないと痛感した。原稿は何度も書き直した。掲載後、八名さんから手紙が届いた。迫力ある筆文字で「六十五年間の映画人生で一番記事を読み胸が熱く成りました。まだまだ頑張って参ります」とつづられていた。記者人生で一番の激励と受け止め、若輩者は精進したい。(芸能担当・奥津 友希乃)
◆奥津 友希乃(おくつ・ゆきの)2019年入社。文化社会部で社会担当を経て、芸能担当。映画や演劇などを取材。
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