家でも学校でもない子どものための第3の居場所。子どもたちが抱える課題に共に向き合う施設「さとっぴー」
HTB北海道ニュース / 2024年5月30日 16時30分
5月のある日。
子どもたちの元気な声がこだまします・・・実はここ、学校ではありません。
北広島市西の里にある児童活動センター「さとっぴー」。
北広島市がB&G財団や道などの助成を受け、北洋銀行の跡地を借り受けて改装し、去年8月に開設した家や学校とは別の子どものための「第3の居場所」です。
放課後の時間帯は、地域の子どもたちや親子が訪れ、自由に過ごすことができる憩いの場になっていて、これまでにのべ3000人以上が利用しています。
午前10時半すぎ。
送迎の車に乗って子どもたちが到着しました。
さとっぴーには放課後の利用だけではなく、家庭にいづらい子どもや学校での対人関係が苦手な子どもなど課題を抱える子どもたちが日中通っています。
道内で公立小学校を対象とした不登校の児童の数は10年連続で増えています。
2022年度はおよそ3700人にのぼります。
特に新型コロナウイルスの感染の拡大が始まった2020年度は、前の年からおよそ700人増えていてほかの年に比べて大きく増加していることが分かります。
このような不登校などの子どもたちの課題を解決するため、こども家庭庁は今年4月から児童福祉法を改正し、児童館や学習支援の場などをはじめとする子どもの居場所を充実させていくとしています。
「さとっぴー」はその居場所の役割を担っています。
北広島市子育て支援部子ども家庭課・冨田英禎課長「生活のリズムを整えるというのが第一歩になりますので、色々な方たちで支援をしていって、子どもたちが自分たちで生きる力を身に付けてもらいたいと思う」
小学5年生のみゆうちゃん。
4年前の小学1年生の頃から少しずつ学校へ行きづらくなり、3年生の終わりごろ、全く教室に入れなくなりました。
みゆうちゃんが小学校に入学したのは2020年でした。
母親「ちょうどコロナが始まった頃だったので、1年生に上がったときちょうど。
それで休校になってというのもあった時で、その休校明けも行き渋りはあって。
1年生2年生のときも時々お腹痛いとか言って」
小学校の一クラスはおよそ30人。
大人数に囲まれることや大きな声を出されることが苦手だったというみゆうちゃん。
さとっぴーでは少人数の中で落ち着いて学習に取り組んだり、笑顔も見られるようになりました。
現在は、小学校の特別支援学級やフリースクールに通いながら、週に2日さとっぴーに通っています。
みゆうちゃん
(Qさとっぴーは学校に行くより楽しい?)「うん」
(Q先生が一人ひとりについてくれるのはどう?)「いいよ」
母親「たぶん今まで学校がすごくつらいところだったんですけど、少しずつ明るくなった。本当は徐々に学校に戻れたらと思ってはいたんですけど、難しいのかもしれないとは思っているので。本人が居心地いいところに行けるのが一番いいのかなとは思っています」
小学4年生のひなたくん。
週に2日さとっぴーに通っています。
1年生のゴールデンウイーク明けに発熱で学校をしばらく休んでから、だんだん学校へ行きづらくなっていきました。
母親「毎回ギャーギャー泣き叫んで、もう無理やり引っ張って連れていってっていうのが、ここまでして学校って行かなきゃいけないのかっていうふうに思ったんですよね」
ひなたくんは3人兄弟の長男。2歳離れた弟は当時幼稚園に通っていました。
母親「ちょうどコロナが激しくなっていたタイミングで、次男の幼稚園がコロナの人がいるからもう閉鎖ですみたいな1人出たら学校閉鎖(休園)だったんですよね。
そのときに次男が幼稚園行けなくなった。じゃあ俺も(小学校)行かなくてよくね?って彼の中でなったみたいで」
ひなたくん(小学4年生)「(学校は)楽しくなかった。ずっと座ってるからさ。1年生の中盤くらいまでは休み時間でも外に出ちゃダメ、教室から出ちゃダメだったから、すごい退屈だった」
家にはしばらく使われていないランドセルが2つ。
小学2年生になった次男のしずくくんも1年生の頃から学校へ行けなくなり、ひなたくんと同じように週に2日さとっぴーに通っています。
ひなたくんの弟・しずくくん(Qどういうところが苦手だった?)「人数が多くてプレッシャーを感じる。」
(Qさとっぴーは楽しい?)「めっちゃ楽しいよ」
母親「リアルの対人でのコミュニケーションっていう部分は絶対あったほうがこれから生きていく中で必要だなと思うので、さとっぴーでも色んなお友だちができて色んな大人色んな子どもに触れ合うことで自分はどうしたいんだろうって得ていってほしいなっていうふうには思っています」
さとっぴーはこれまで、ひなたくんらのように通学などに課題を抱える23人の小学生が利用しています。学習習慣や生活リズムを整えられるよう一人ひとりに合わせてサポート。
遊びの中でも周囲とのコミュニケーションや好奇心を育むほか無料で勉強を教えたり、必要な場合は食事も提供。共にそれぞれの課題に向き合います。
北広島市児童活動センター・廣瀬直美さん「学校に行けるようになるってことは勿論素晴らしいことだとは思います。でも人生はやっぱり続いていきますよね。なのでうんと大人になったときにこういう事もあったけどとか、楽しんで人生を送っていってもらえたらいいなっていうふうに私は考えています」
家でも学校でもない第3の居場所。子どもたちにとって地域のなかで成長を後押しされながら安心して過ごせる居場所がいま必要とされています。
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