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北海道の初夏の味覚!アスパラが秘めるチカラ 羊もウニもアスパラが大好き!?

HTB北海道ニュース / 2024年6月20日 19時57分

(c)HTB

北海道の初夏の味覚のひとつ、アスパラガス。収穫後にカットされ、捨てられてしまう部分の活用策にいま、注目が集まっています。

収穫量、北海道が全国1位の野菜、アスパラガス。好んで食べるのは、人だけではないんです。

むしゃむしゃとアスパラをほおばる…羊。なんとも贅沢に思えますが、このアスパラは全て無料で手に入れたものだそうです。いったいどういうことなのでしょうか。

農業が盛んな空知の美唄市。市内ではおよそ40戸の農家が、アスパラを生産しています。市内で収穫されたアスパラは農協の施設で、同じ太さに仕分けられたあと、機械を使って、長さを切り揃えられます。

JAびばい 岡広祥係長「北海道の流通規格である24cmに、当選果場で揃えてカットしておりますので、これだけのアスパラの切れ端が発生しております」

その切れ端を、羊のエサにしているのが美唄市の西川農場です。始めたのは17年前。

西川農場 西川崇徳社長「父が趣味で3頭だけ羊を飼っていて、そこにアスパラ農家さんが選果場で、アスパラの切り落としが使い道ないんだけど、羊が食べるんじゃないかということで持ってきてくれて」

当時、土木会社を営んでいた西川さんの父親が飼っていた羊に、試しにアスパラの切れ端を与えてみたところ、喜んで食べたそうです。

西川農場 西川崇徳社長「僕自身、国産の羊の肉を食べたことがなかったんですけれど、実際アスパラを羊たちにあげ始めて、試しにみんなで食べてみたんですよね。すごいおいしくて。それからですね。」

偶然にもおいしい羊肉ができたことから、その後、西川家は本格的に農場をつくり「アスパラひつじ」の生産をはじめました。いまではおよそ150頭を飼育しています。

帯広畜産大学の分析によりますとアスパラを食べた羊の肉は輸入した羊肉と比べて、うま味に関するグルタミン酸が突出して多いという結果が出ています。美唄市では、4月から9月がアスパラのシーズン。年間2~3トンの切れ端が、余すことなく羊のエサとして活用されています。

JAびばい 岡広祥係長「廃棄費用も削減することができますし、地域の特産品に寄与することができるかと思います。地域のそういった使われてなかった資源が有効に活用する一助になれば、嬉しいなって思います。」

そんな「アスパラひつじ」が食べられる店のひとつ、札幌のジンギスカン店「ふくすけ」です。

本吉智彦記者「とっても柔らかいです、脂にも甘味を感じます」

北海道羊・野菜ふくすけ 今村竜司料理長「たくさんアスパラひつじを求めて問い合わせもあります。半分以上はアスパラひつじの注文が多いです」

評判を聞いて、道外から訪れる客もいます。

和歌山からの客「羊ってアスパラ食べられるんだなって。口に入ったとたん、やわらかくてびっくりしました」

大阪からの客「捨てるものもちゃんとまわって、羊にまわって僕らに帰ってくるんで、SDGsなんじゃないんでしょうか」

一方、こちらは…夏に本格シーズンを迎えるウニ。道南の八雲町では-

新函館農業協同組合 桧山南部立茎アスパラガス生産組合 根津貴浩組合長「ウニってなんでも食うんだろう、キャベツ食ってんだからアスパラだって食うべ、これなんとかしろよと」

本州などでキャベツが養殖ウニのエサになっていることから、「ものは試し」とアスパラを養殖ウニに与えてみたところ、見事に食べたといいます。

(Q身入りはどうでしたか)

ひやま漁業協同組合 熊石支所 平井徳雄総代長「身入りもいつもと変わりないです」

新函館農業協同組合 桧山南部立茎アスパラガス生産組合 根津貴浩組合長「これをなんとか軌道にのせて、農業と漁業がひとつになって桧山ブランドをつくって、今まで捨てているものをお金にしたい」

「特産品に育てたい」という地元の期待が高まっています。

アスパラは北海道にゆかりがあります。およそ100年前、日本で初めてアスパラの栽培に成功した地が岩内町です。町のマスコット「たら丸」も、アスパラを手にしています。

アスパラの栽培に挑んだのは、岩内町出身の下田喜久三・農学博士です。冷害による凶作があったことをきっかけに、北海道の気候でも育ちやすい野菜をつくりたいと、当時、欧米で人気だったアスパラの栽培を試し、見事に成功させました。下田博士は近隣の町にもアスパラの畑を広げ、岩内町に缶詰工場をつくりました。缶詰は高い評価を受け、海外に輸出されるまでになりました。

しかし、その後…実はアスパラは、内陸部の気候のほうがよく育つことがわかり、海に面した岩内町では1970年代以降、アスパラ農家がゼロになってしまいました。

岩内町地域おこし協力隊 木村秀彬さん「アスパラ栽培を成功させてから、ちょうど100年という節目というのを伺いまして、やってみないかという話をいただいたのが、きっかけです」

農業を営みたいと、地域起こし協力隊の一員として、東京から岩内町にやってきた木村秀彬さんです。木村さんは、町からアスパラの栽培をなんとか復活させたいと相談を受け、2年前からホワイトアスパラづくりに取り組んでいます。まわりの農家の協力も受けながら、今年5月に、木村さんは初収穫に成功、50kgほどを出荷しました。

木村秀彬さん「本当にとれて、ひと安心っていう気持ちですね。まだ少ないんですが、数自体は。ただ収穫することができて、本当によかったなと思っています」

岩内町 建設経済部 近藤剛次長「木村さんがやっていけるように、いろんな支援を町としてもおこなっていきたい」

木村さんの「地域おこし協力隊」の任期はことしの8月で終わりますが、岩内町で出会い、ことし結婚した李子さんとともに、岩内で農業を続けていくことにしたそうです。

木村秀彬さん「覚悟が決まったというか、ここで農業がんばろうと思いました」

育てる喜び、食べる喜びを生むアスパラ。道内各地で大活躍しています。

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