【追跡】札幌南区・定山渓の“ごみ屋敷”アパート なぜ大量のごみが? 食い違う関係者の主張 事態は膠着
HTB北海道ニュース / 2024年6月24日 20時14分
札幌市南区の定山渓にあるアパートに、大量のごみが運び込まれている問題。ごみを運び込んだ業者とアパートを契約した側、双方の主張が食い違い、事態が膠着しています。
アパートの周りに積み上げられた冷蔵庫やソファ、マットレス…
住人「早くどうにかしてほしい」
誰が、何のために運んできたのか。
リサイクル業者A「やらざるを得ない状態になって、とりあえず(アパートに)持って来るしかないというところで、持ってきていた」
HTBの取材に対し、このアパートにごみを運び込んだことを認めた男性A。
その後、このアパートを借りた側の男性から情報が寄せられました。
アパートを契約した側B「(Aらが)どうしても倉庫が必要だというから借りた。我々は荷物を運んだりということは一切考えていなかった」
Aに頼まれたからアパートを借りたと話した男性B。これに対しAは。
リサイクル業者A「Bの方でここを借りましたよということで話を持ち掛けられた。なし崩し的に始まってしまった」
賃貸契約を結んだ側とごみを運んだ側、両者の間で食い違う主張。アパートが「ごみ屋敷」と化した経緯に迫ります。
年間100万人以上の観光客が道内外から訪れる、札幌の温泉街「定山渓」。その外れにあるアパートで異変が起きています。
これはアパートの住人が4月に撮影した画像。数人の男性が運び込んできたという大量のごみが、アパートの周りだけではなく、歩道も埋めつくしています。
このアパートの管理会社によりますと、ゴミが持ち込まれている1階の倉庫と2階の一部を借りているのは札幌市内のリサイクル会社です。
この会社は去年12月、「建築のための木材や資材置き場」に使う、という理由で管理会社と契約を結びました。しかし、実際に持ち込まれたのは使い古された冷蔵庫やソファに、マットレス、さらにはペットボトルや空き缶などの生活ごみまで。
これらのごみは契約していない3階の物置きにも、勝手に置かれていたということです。アパートの住人も困惑しています。
アパートの住人「ものを詰めすぎて押し入れの天井が落ちてきた。ドアは歪んで閉まらない」
地元のガス業者「検針に行ったらなんだこれ?という状況で。仕事ができないからゴミを片づけてと言ったにもかかわらず、ガスメーターが完全に埋まっていた」
ごみをアパートまで運ぶ仕事にアルバイトで参加したことがあるという男性に話を聞きました。
ごみを運んだアルバイトの男性「各企業の不用品や遺品整理での一般住宅からの回収とか。トラックとか使って持ってきていた。多い時だとトラック3台分とか。(ごみを)仕分けして分別して処分するという流れだったが、1日に持ってくる量と分別できる量の比があっていなさすぎていて、持ってくる量が明らかに多かった」
車道にごみを置いたのは「上」からの指示だったと言います。
このアパートをめぐり、何が起きているのか。リサイクル会社との賃貸契約は2023年12月からの3年間で、契約期間は2年以上残っていますが、管理会社は6月末までにごみを片付けなければ強制退去させる方針です。
管理会社の担当者「30から40回は電話や直接伝えている。言っても対応してくれない。どんどん状況がひどくなっていく」
HTBはアパートを借りた側のBに、なぜこのような事態になったのか聞きました。
アパートを契約した側B「経緯は、Cの方でごみの処理ができなくなって、ロッカーや倉庫を借りてくれないかという声かけがあった」
Bは市内で解体業などを営む男性Cに頼まれて、賃貸契約を結んだと話します。Bは自身のリサイクル会社で働く別の男性に依頼し、この男性が管理会社と賃貸契約を結びました。
この、ごみの運び込みに関係しているとみられる男性たちの言い分はそれぞれ食い違いをみせています。
Bは去年12月ごろ、Cから「仕事をやるから、ごみを置くための倉庫やロッカーを借りてほしい」と頼まれたと話します。そしてBは市内に数か所、倉庫などを借りましたが、そこにもごみを置ききれなくなり、定山渓のアパートを借りることになったといいます。
また、Bは実際にアパートを利用していたのはCと親交が深い別のリサイクル会社のAであり、ごみを捨てていたのはAとCの2人だと主張しています。
アパートを契約した側B「AとCが使うためにどうしても倉庫が必要だというから借りた。我々は荷物を運んだりするということは一切考えていない」
一方で、現在アパートを利用していて、ごみを持ち込んだことを認めているAは、Bからこのアパートで「ごみを仕分ける仕事」を持ち掛けられたと話しています。
市内のリサイクル業者A「Bの方からここを借りましたよということで話を持ち掛けられた。中に入っているものの分別をする感じだねと話をされて」
AはBが遺品整理などで回収したゴミをあちこちに不法投棄していて、立ち行かなくなり、結果的に自分がBの代わりにゴミを回収せざるを得ない状況に陥ったと主張しています。
市内のリサイクル業者A「僕の方にガンガン連絡が入るようになって、私はもう無理やり(アパートの)倉庫に入れなきゃならない状態が出来上がってきて。(別の業者から)詰められたり、なんだりというのもあったんですけど、そういうのもあって、やらざるを得ない状態になって、とりあえず(アパートに)持って来るしかないというところで、持ってきていた」
不動産に関する問題に詳しい弁護士は、契約者と利用者の双方が責任を問われる可能性があると話します。
上木健司弁護士「実際にごみを詰め込んだ人にまず責任を問えます。それから賃借人がもしそういった行為を容認しているとか、一緒になってやっているとか、そういうことが分かれば、賃借人に対しても責任は問えるかもしれない」
なぜ「ごみ屋敷」と化してしまったのか。アパートの住人にとっては戸惑いの日々が続いています。
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